在宅療養の指導
〜前向きな家族と共に〜
中野協立病院 2階病棟 川崎陽子
2007年2月に新病院がオープンしました。何もないところからのスタートとなり、毎日がドタバタとすぎてしまっていました。そんなときに在宅療養調整・指導目的のSさんがリハビリ病院から転院してこられたのです。
●自宅への退院を目標に
Sさんは70歳まで病気らしい病気もせず過ごしていたのですが、ゴルフ旅行中に脳出血で倒れてしまい、四肢・体幹失調、構音障害、嚥下障害が残ってしまい全介助の状態になってしまいました。
入院治療中に肺炎も合併して、気管切開、バルンカテーテル挿入、経口摂取は“おたのしみ”程度で、胃ろうでの栄養管理となり当院へ転院してこられました。家族の方の負担も多くて本当に在宅療養ができるのか心配でした。
しかし、Sさんはとても明るく、家族も自宅への退院を目標とされていました。転院前の病院がリハビリ病院であったため、移動動作時の介助、嚥下訓練指導は受けておられ、当院に移ってからも嚥下訓練食の介助のときは必ず面会に来て介助を行っておられました。
在宅調整では、まずケースワーカーに相談しました。家族の希望もあり、やまと診療所のケアマネージャー・訪問診療・訪問看護を依頼することになり、翌日にはケアマネージャーが本人・家族のもとに会いに来てくれました。その行動の素早さに驚いたほどです。
入院中の指導では看護師間で事前に指導内容や援助についてのカンファレンスができず、気づいたところからパンフレットを作成し、その日の担当看護師が指導するという追いかけっこのような状態で毎日が過ぎてしまいました。しかし家族の方ののみこみが早く保清・カニューレ管理・胃ろう管理も問題なくできるようになられ、逆に私たちスタッフが家族に助けられているという状況でした。
●今後は退院前・退院後訪問も取り入れたい
この間の入院中にSさん本人も日常生活レベルが上がり、尿意もはっきりわかるようになられ尿器を使用できるようになりました。嚥下の状態もムセがほとんどなくなり、ペースト食ではありますが、1日3食・1200キロカロリーとれるようになり、転院1ヶ月目に胃ろうからの注入は中止になったのです。4月の合同カンファレンスののちケースワーカーとリハビリスタッフが自宅訪問を行い必要な改修工事を行った後、5月30日に無事退院となりました。
今回のケースを振り返ってみて、在宅療養指導をしっかりと行えたかというと「否」と答えざるを得ません。Sさんの家族が私たちスタッフにとても協力的でなんとかのりきれたような気がします。指導を受ける側が受け持ちスタッフの誰に質問してもきちんと同様の対応ができるように今後の課題としてゆきたいです。今回はできなかった退院前・退院後訪問もぜひぜひ取り入れてゆきたいです。