「どこで浮気してたのよ! 離婚よ!」夜間透析から帰ってきた夫を妻のAさんは責め立てます。Aさんは認知症があり、一人で置かれた不安を夫にぶつけるのです。その後Aさんは専門医から内服処方され穏やかになったのですが、いつも夫がそばにいないと不安で落ち着かなくなります。
店を閉め娘さんと同居したのを機に、夫の透析を日中に変えていただき、Aさんはデイケアに通うことになりました。ヘルパーが介助して出かける準備をするのですが、毎朝泣き別れの状態でした。
そんな中、夫が入院し「お母ちゃんがかわいそうだ」と家に帰りたがり、Aさんも夫がいないと不穏になるため、毎日ご夫婦が会えるプランを考えました。平日は毎日デイケアを利用することにし、仕事のある娘さんに代わってヘルパーに内服介助と送り出しを、デイケアの帰りにヘルパーが夫の病室まで送り、病室で夫と過ごした後、夕方家族が迎えにくる、というものです。夫のいる病棟スタッフには「Aさんがトイレの場所や夫の病室がわからなくなる」ことを伝え、協力をお願いしました。
Aさんご夫婦は、毎日お互いの無事を確認できたためか落ち着いて過ごされたのですが、娘さんは大変だったようで、3回目の入院時には主治医にショートステイを利用するように指示をもらってきました。
しかし、この体験から娘さんの両親への関わり方に変化がみられました。以前、娘さんはAさんの介護をほとんどお父さんに任せていて、トラブルがあると怒っていたのですが、夜間のAさんの状態を知りお父さんの大変さを実感して、両親の介護を積極的に行うようになったのです。(代々木病院介護保険企画室 伊藤久江)
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