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協同組合報vol.50

看護NOW(第23回)

リハビリ診療報酬改定に負けないぞ!

みさと協立病院 3南病棟 石井久仁枝

 「今日、妹と土手まで散歩に行ってきたよ。これあげるよ」と言って、Mさん(71歳)は私に1本の菜の花を差し出した。その菜の花から、五月晴れの空のもと、妹さんとふたりで楽しく車いすで散歩している様子が伺え、私はとてもうれしくなり受け取った。

●「病棟リハビリ」を開始

 Mさんは、20歳のころ統合失調症を発症した。きょうだいに支えられて生活してきたが、慢性腎不全の悪化から2年前に人工透析を受けるようになった。その後、脳梗塞を起こし、左足に麻痺が残り、介助を必要とするようになった。きょうだいが介護困難であることから、昨年の8月、当院に転院してきた。そのころのMさんは、車いすには乗れるものの、寝返りや起き上がりはできず、ベッドから離れるのは、透析と食事のときだけだった。スタッフに頼りきりで、自分の要求がかなわないと、ヒステリックな声を張り上げる状態がしばらく続いた。

 そのMさんが、今では車いすに一人で乗り、トイレに行けるようになったのである。私はMさんに「何でできるようになったの?」と尋ねてみた。Mさんは「すごいでしょ、進歩だよ、進歩。看護師さんはいつも忙しそうだから、自分でできることは自分でしようと思ってがんばったの。あとは一人で起き上がれるようになれば、どこへでも行けるようになるよ。病棟のリハビリも良かったよ」と笑顔で話してくれた。

 私たちは、Mさんの「進歩」の背景には、「病棟リハビリ」があると評価していた。昨年4月の診療報酬の改定により、疾患別にリハビリの算定期限が定められた。Mさんのような「脳血管疾患」は発症から180日までと、リハビリの日数が制限されてしまい、多くの患者さんがリハビリ終了となってしまった。

 そこで10月から始めたのが、「病棟リハビリ」である。リハビリスタッフのアドバイスを受けて、プログラムを作り、試行錯誤しながら続けてきた。「Aさんが足踏みしたよ」「Bさんが平行棒つかんで立ち上がったよ」など、担当する中での驚きや発見も多い。現在では、週3回レクレーションを混ぜながら実施している。

●Mさんのめざましい進歩

 そのような中でMさんの進歩はめざましかった。Mさんは、病棟リハビリが気に入ったようで可能な限り参加し、大きな掛け声を出し、歌を歌うようになった。支えられて立つところから、自分でつかまって立ち、足踏みができるようになった。日常生活の中でも、スタッフで介助量を減らし、声かけを増やした。移乗が軽介助でできるようになり、トイレに行けるようになった。起き上がりもほぼ自力でできるようになっている。すばらしい進歩である。要求がかなわないときのヒステリックな声は減り、日中デイルームでおしゃべりを楽しむ姿が多くなった。

 「リハビリ」とは、人間が人間にふさわしくない(望ましくない)状態に置かれたときに、それを再びふさわしい状態に戻すことを意味する。その人が人間らしく生きる権利の回復、すなわち「全人間的復権」というのがリハビリテーションの真の意味である。Mさんのように病棟リハビリの中でADLが改善する患者さんもいるが、リハビリの算定期限を過ぎても専門的なリハビリを必要としている患者さんもいる。私は、機械的に医療を打ち切るのではなく、誰もが平等に必要な医療が受けられる社会になるよう声をあげ、訴えていきたいと思う。



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