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協同組合報vol.49

(3)

神奈川県医療事業協同組合


スケールメリットを生かして、さらに総合的な事業展開を

●設立10年

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横浜みなとみらい

 神奈川県医療事業協同組合(以下、事業協)は今年、設立10年を迎えた。5月には祝賀会が計画されており、10年の歴史と教訓をまとめた小冊子も発行する予定だ。
 「どこの事業協同組合もそうですが、うちも最初は薬剤、医材、医療機器の共同購買事業からスタートしました。その後、事業協のスケールメリットをあらゆる面で生かそうということで、事業展開が次第に総合的なものになってきました」。専務理事の小野寺克巳さんはそう語る。

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左から専務理事の小野寺さんん、事務局の迫田さん、管理薬剤師の高須賀さん
 その変化を数字で見ると、2002年までは年間予算は数千万円だった。それが02年に年間約1億円規模の教育情報事業が開始され、医薬品などの共同購買以外の事業も始まって、予算の桁が一つ大きくなった。そして、05年に給食共同事業が開始され、06年度の年間予算は約7億円となった。この数字の変化からすると、この間の事業の主な特徴は、(1)教育情報事業、(2)給食共同事業、(3)その他の事業、にあるようだ。そこで、この3点を中心に事業協の特徴に迫ってみよう。
 全体の事業については組織図を見てほしい。事業扱い高は、医薬品33億、医材8億、機器2億、教育情報1億、給食4億、その他の事業2億、合計約50億円前後になるという。職員は、本部5人、セントラルキッチン15人、県連職員10人、計30人だ。

●人気の「パソコン教室」――教育情報事業

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教育情報事業のデジカメ講座

 まず教育情報事業だが、収入・支出ともに約1億円という、相当な金額になっている。小野寺さんはこう説明する。「うちの事業協は神奈川民医連の法人全部を対象にした、県連と一本化されている事業協です。それで、県連の会費を抑えるという意味もあって、02年から、それまで県連で行っていた制度教育全般を事業協の事業として位置づけたんです」
 神奈川民医連(病院4、診療所28)の職員総数は約1700人だそうだ。なるほど、教育情報事業の額が大きいのはこれで納得できる。では、1億円の収入はどうやって得ているのだろう。
 小野寺さんの説明によると、「教育情報賦課金」を設け、各法人の拠出額は職員数と収益によって按分される。しかし最近、この計算では逆に矛盾が出てきたという。たとえば、薬局法人は職員数が少ないわりに賦課金が高くなるのだ。事業協では今、教育賦課金検討小委員会をつくり、見直しに入っている。
 賦課金の負担を軽減するには、事業協独自の収益事業を拡大することが求められる。その一つとして人気を集めているのが、02年から始めた「パソコン教室」だ。毎年120〜130人が受講し、この4年間で延べ500人が参加した。

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教育情報事業の社会保険講座
 内講座容は、ワード(中・上級編)、エクセル、パワーポイント、写真の画像処理など。開講日は毎週土曜日、同時に七つぐらいの講座を開いている。たとえば、3日「ワード中級」、10日「エクセル」、17日「パワーポイント」というふうだ。受講料は1コース5000円(法人負担3000円、個人負担2000円)だ。4月に開校し、11月に終了、誰でも自由に参加できる。
 「パソコン教室を始めたとき、こんなに人気があるとは思わなかったんですよ。確実に需要があることがわかりました」と小野寺さん。
 このほかに単独講座も開いている。昨年は、社会保険講座を開催、30人が参加して好評だった(写真)。また、事務長・所長を対象にした「パソコン管理者教室」も開いた。「これはなかなか評判が悪くて(笑)。たしかに面白くなかったですね」。中には失敗もあるが、何事もやってみなければ次につながっていかない。事業協独自の新しい教育事業をどう拡大していくか。やらなければならないことは山ほどある、と小野寺さんは話す。

●軌道に乗ってきた給食共同事業

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平和を語る秋の夕べ(06年9月)

 給食共同事業を事業協の事業として取り組んでいる点もここの特徴だ。2005年、「かながわセントラルキッチン」が完成し、給食共同事業が始まった。セントラルキッチンの職員は事業協の職員、サテライトキッチンの職員は各法人の職員という形態をとっている。
 「1年間、大変な苦労をしつつ、業務の安定やおいしい給食づくりに奮闘してきました。苦情も減少し、ようやく軌道に乗ってきたというところでしょうか」と小野寺さん。受託食数は現在、3病院と7施設から1日2000食だ。給食共同事業の扱い高は4億円、医薬品などの購買事業の次に大きな事業となっている。
 2年目に入った今年度は、在宅利用者さんへの介護食・治療食の提供、栄養指導管理など、地域と結びついた給食事業も展開していきたいという。

●あなどるなかれ、「その他の事業」

 「その他の事業」として事業協が取り組んでいるのは、(1)印刷事業、(2)自動販売機統一運営、(3)消耗品電子発注、(4)福利厚生事業(生保・損保の団体契約)、(5)自動車統一仲介、などだ。これらの手数料収入は06年度、計1100万円にのぼったそうだ。
 「そのうち一番大きな手数料収入が自動販売機の統一運営です。窓口を事業協にして手数料をもらうわけですが、27台ある自販機の売上げの約30%が手数料収入になります。それが去年800万円になりました」。その金額を聞いたとたん、「えっ、そんなにもらえるんですか!」と、思わず聞き返してしまった。「ええ。その代わり、業者の売り込み攻勢がすごいですが」と小野寺さん。30%もの手数料収入があるなら、売り込みの煩わしさを我慢するぐらいわけない(のではないか?)。
 また、事務用品やコピー用紙などの消耗品も事業協が窓口になって業者と大口契約を結び、注文は各事業所から電子発注できるようなシステムをとっている。この手数料収入が200万円になるそうだ。あと、自動車統一仲介で100万円、合計すると、1100万円になる勘定だ。あなどるなかれ、「その他の事業」の手数料収入……。

●可能性に向かって模索は続く

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医療を考える3者会談。薬剤メーカー、卸、事業協が、立場の違いはあっても医療問題を共に考えようと呼びかけた、90名が集まった

 冒頭で小野寺さんが話したとおり、事業協の事業はたしかに総合的になってきているようだ。その事業一つひとつに目を配り、一つひとつを黒字にして成功させていくために、事業協では「専門委員会」(組織図参照)をそれぞれ毎月1回開催し、常に検討を重ねている。こうした地道な取り組みの成果なのだろう、事業協は傍目から見ても非常にバランスの取れた事業展開をしているように見受けられる。「たしかに順調に来ているんではないかと思います」。小野寺さんの言葉に実感がこもる。
 事業協はこの10年の実績の上に立って、新たな事業展開を模索する。「新規事業検討プロジェクト会議」がその中心になって論議を進める。
 検討に入っている一つは、会計システム・給与管理システムの共同事業化だ。それから、派遣業の資格をとって、人材派遣、人材紹介を事業として取り組めないかと考えている。「たとえば、ヘルパー登録のように人材を登録しておけば、この日看護師がいない、薬剤師がいないという場合、すぐに派遣することができます。また、1日は無理だけど、半日なら働けるという人だっているはずです」
 また、施設清掃、設備メンテナンス、警備委託、廃棄物処理、白衣などのレンタルなど、各種業務の委託契約を統一契約にできないかということも検討中だ。「神奈川民医連の特質なのかもしれませんが、清掃にしても10の組合員が全部違う業者を使っているんですよ」と小野寺さん。
 事業協のスケールメリットを生かせば、様々な事業が可能になる。その可能性に向かって事業協の努力と模索は続く。

【組合の概要】
名称 神奈川県医療事業協同組合
所在地 横浜市神奈川区鶴屋町3−35−1 第二米林ビル6F
地区 神奈川県内11市1町(横浜市、川崎市、相模原市、
藤沢市、横須賀市、平塚市、鎌倉市、厚木市、小田原市、
逗子市、三浦市、葉山町)
代表者 工藤敬生(医療生協かながわ生活協同組合・専務理事)
設立年月日 1997年3月31日
出資金 4,390万円
組合員 10組合員
川崎医療生活協同組合
(財)横浜勤労者福祉協会
医療生協かながわ生活協同組合
神奈川みなみ医療生活協同組合
神奈川北央医療生活協同組合
(財)柿葉会、川薬(株)、(株)ヒューメディカ
(有)ファルマさがみ、(社)うしおだ
組織図


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