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協同組合報vol.49

介護の現場から

(7)ALSの方の生き方を支える<その3 家族>


 胃ろうをつくって栄養を入れたくない、と自分の考えをはっきりと主治医や家族に伝えたIさんの言葉は、腹部の筋力低下のために座ることも話すことも難しくなっていた彼女の覚悟の言葉だったといえます。その後、全身の倦怠感と息苦しさを訴えるようになり、10月20日の往診では最後まで自宅で過ごすことを確認しました。
 6月にIさんにはじめて会ったとき、すでに歩行できない状態で、2階で生活していました。明るく活動的な、笑顔のステキな女性でした。
 息苦しさが続くようになり、娘さんやお姉さんが、いつもそばにいるようになりました。「一人でいるのがつらい」と言っていたIさんにとって、わずかでも安らぎが得られたのではと思います。訪問看護は1日2回伺うことになり、だるさが少しでもよくなるようにと、マッサージを行いました。冷や汗をかきながらも、トイレを使うことを望みました。支えなしでは座れない状態でしたが、自分でできることを最後まで続けたかったのでしょう。看護は、介護に戸惑う娘さんへの援助でもありました。娘さんにとっては、働き者のしっかりした母親であり、病気によって動くことができなくなってしまった母に何をどうしてよいのかわからず困っているように見えました。
 家族から夜間の様子や座薬の使用について聞き、看護師からは、今の状態を説明し、家族と今の状態の確認をしました。主治医とも連絡し、ケアスタッフが現在とこれからについて、常に同じ認識をもって関われるように連携していきました。
 10月27日呼吸状態はさらに悪化し、最期が近づいていることを主治医から説明されました。うわごとのように「苦しい」を繰り返す状態でした。翌28日夜、家族が全員そろい兄姉が駆けつけ、小さな孫達に囲まれた中で静かに眠るように旅立たれました。エンゼルケアに伺った時、娘さんが選んだ赤い洋服と濃いグレーのスカートは、元気で働いていた頃を思わせるJさんらしい色合いでした。お孫さんたちが枕もとを離れませんでした。
 後日うかがった時、玄関先が水で洗われていて、「これからお客様が来るんだけど、きれいにしておかないとお母さんが上から見ているようで……」と娘さんが少し微笑んで話されました。(松戸なのはな訪問看護ステーション 多田洋子)


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