次の10年に向かって新たな歩みを開始
●先駆け
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左から鈴木さん、藤井さん、永坂さん
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千葉民医連事業協同組合(以下、事業協)は名前が示すとおり、千葉民医連に加盟する5法人(P7参照)が結成した事業協同組合だ。昨年8月で設立10周年を迎えた。私たちの「事業協同組合 医療と福祉」が2002年の設立であるから、かなり早い時期の設立といえる。
「そのため、認可が下りるまでに予想外に時間がかかってしまいました」と事業協元事務局長の鈴木洋さんは当時を振り返る。鈴木さんは設立時から2006年11月まで、10年間事務局長を務めてきた。
「なぜ時間がかかったかというと、事業の一つとして定款に『経理・給与の事務代行』を記載して申請したんですが、その当時は事業協同組合法で定める事業にそれが入っていなかったんです。『そういう事業は認められない』と言われました。いろいろ交渉をして、最終的に『組合員のためにする経理・給与の事務代行』とするならばいいということになりました。結局、交渉で1年ぐらいかかりました」と鈴木さんは話す。
先駆けゆえの苦労があったわけだが、その後、事業協同組合法に定める事業に「事務の委託事業」が加えられることになった。
ところで、加盟する5法人を見ると、組織的には千葉民医連とほとんど重複しているようだが、違いはあるのだろうか。人事部副部長の藤井恵子さんはこう説明する。
「千葉民医連に加盟する法人で事業協に入っていないのは、『NPO法人なのはな』と『有限会社ふくじゅ』の2法人で、この二つは員外利用という仕組みをとっています。事業協は県連共同事業という位置づけをしています」
それでは、事業の内容に入ろう。
●「施設の共同利用」という考え方
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守田代表理事
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少し長くなるが、事業協の事業を正確に把握するために内容を箇条書きで紹介しよう。
(1) 医薬品、診療用器具及び消耗品等の共同購買
(2) 経理、給与計算等の情報処理事務代行
(3) 共同労務管理
(4) 後継者の育成等職員教育
(5) 経理及び技術の改善向上または組合事業に関する知識の普及を図るための教育及び情報の提供、種々のコンピュータシステムの開発等
(6) 福利厚生事業
(7) 事業資金の貸付け及び借入れ、債務の取立て、債務の保証
以上のように多岐にわたるが、これを見ただけでは事業協の特徴はわからない。「何が特徴でしょうか」と尋ねると、鈴木さんは「事業協の職員がいないというのが一番の特徴ではないでしょうか」と答えた。職員がいない? じゃあどうやって仕事するの? キョトンとしていると、鈴木さんはこう続けた。「それぞれの組合員から職員が出向するという方法をとっていて、事業協では職員を抱えていないんです」
つまり、事務センターを立ち上げ、総務・経理システムをコンピュータ化して整備する。事務センターは総務・経理を中心に組合員が「施設の共同利用」を目的に作られた合同事務所とし、組合員の職員が出向または通信システムによってその設備を共同利用する、という考え方をとっているというのだ。したがって、各法人には給与計算をする人や人事担当者はいない。総務担当はいるが、窓口になるだけだ。
上の組織図を見てほしい。実際の運営は事務センター、薬材センター、コンピュータ室の三つで行われている。職員数は、経理部4人、総務部・人事部9人、コンピュータ室4人、薬材センター6人、計23人という構成だ。
出向派遣は二つの法人が担っている。千葉民医連に加盟する保険薬局を経営する千葉保健共同企画が14人、千葉勤医協が9人だ。
ただし、4月より業務・企画部を設置して組織改編を考えているとのことだ。
【組合の概要】
| 名称 |
千葉民医連事業協同組合 |
| 所在地 |
本社 船橋市二和西4‐33‐16
事務センター 千葉市花見川区幕張町4‐524−2
薬材センター 船橋市二和西4‐33‐16 |
| 地区 |
千葉県内(千葉市、市川市、船橋市、鎌ヶ谷市、市原市) |
| 責任者 |
代表理事 守田達夫 |
| 設立年月日 |
1996年8月9日 |
| 出資金 |
500万円(1組合員100万円) |
| 組合員 |
5組合員
(医)千葉県勤労者医療協会
(医)かずさ勤労者医療協会
医療法人青光会
(有)千葉保健共同企画
(社)千葉勤労者福祉会 |
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●収益と費用のバランスは?
人件費支出がないとなると、収益と費用はどうなっているのだろうか。まず収益だが、賦課金(会費)は法人の規模に関係なく一律10万円だ。これは「事業の大小を問わず自由と平等」という事業協同組合の精神に則ったものだ。それから、医薬品等共同購入の手数料として利用高(総売上)の2.5%の利用料をもらう。利用料は月約500〜600万円になるそうだ。
さらに、コンピュータ等の施設利用料、建物の共同利用に伴う賃借料(ただし建物の共同利用は事業に位置づけていない)があり、合計で月に600〜700万円の収益となる。
費用に移ると、まず、事務センター・薬材センターの共同事業に伴う備品・消耗品費等がある。それから事務センターが入っているビルは千葉勤医協の建物であり、月100万円で借りている。
さらに、県連の制度教育や研修などの教育事業費用として年間2000万円を支出している。ちなみに教育事業は千葉民医連の教育委員会と協力して進めており、事業協が財政的に支えるシステムをとっている。
「だから人件費がなくてもお金は余りません。むしろ赤字基調です。06年9月決算では何とか黒字になりましたが」。事務センター経理部主任の永坂和美さんはこう説明する。
●新しい事業展開も
先に述べたように、保健共同企画は14人の職員を出向派遣して事業協を支えている。しかし、2006年4月からの診療・調剤報酬の改悪によって薬価基準は大幅な引き下げとなり、薬局法人の経営は非常に厳しいものになっている。このような状況の中で、保健共同企画がこれまでのように県連共同事業に貢献できるかどうか。
事業協は設立10年を振り返って「その役割を十分果たしてきた」と評価しつつ、新たな情勢に対応する運営のあり方を検討する必要があるとして今後の方向性を提起した。それは次の4点だ。
(1) 事務センターの機構を整備して、人員配置を見直しながら軽減化を図ること。経理部・総務部の一体的管理。コンピュータ室の設置を見直し、実務にも責任を負う組織に統廃合する。
(2) 千葉勤医協、保健共同企画以外の法人からも職員の出向を考えてもらうこと。
(3) 県連事務局を一体化した事業協の運営も視野に入れて検討すること。
(4) 薬材センターの運営を効率化して、人員の見直しを行うこと。
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事務センター
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さらに新しい事業展開もねらっている。その一つが、現在は未加盟で員外利用となっている「有限会社ふくじゅ」だ。「ふくじゅ」はNPO法人なのはなを含む四つの医科法人が出資してつくりあげた会社で、当面は、共同組織が中心になって、病院売店・病院内レストラン・患者さんの送迎バスの運行を行っている。
「ふくじゅ」の定款には、清掃・警備・配送・カルテ等の倉庫管理などの請負事業が掲げられており、今後、出資法人がこの会社をどのように活用していくかが鍵を握っているという。
「民医連経営がますます厳しさを増す中で、経費削減対策や団塊世代を中心とした再雇用者の職場確保も重要な課題となっており、事業協としてもどのような援助ができるか考えなければならない段階にきています」と鈴木さん。
事業協は次の10年に向かって新たな歩みを始めている。
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