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協同組合報vol.48

看護NOW(第21回)

20件近くの病院に電話をかけ続けても入院先が決まらない

川島診療所  師長 鈴木多加子

いつでも、どこでも誰もが安心して良い医療を受けたい――これは職員はじめ多くの患者さんの願いです。中野共立病院の建て替え中は「病気しないよう頑張るからね」という言葉を何人もの方から聞きました。今年2月1日、新病院がオープンしました。安心しているのは私だけでしょうか。

●じょくそうが徐々に悪化

生活保護を受け一人暮らしをしている88歳のAさん、この春、鹿児島に住んでいる娘さんの所へ行く予定だったのですが、去年の夏頃から両踵部と仙骨部にじょくそうができ、一進一退を繰り返していました。介護保険は要介護3、週2回のデイサービス、訪問介護、等々と、近所に住む姪御さんの毎日1回の訪問(食事と排泄の世話)で何とか在宅生活ができていました。
 しかし、秋から冬へと寒さが増すごとにAさんの動作は緩慢になり、ベッドに寝ている生活が多くなりました。木造の1戸建てに住んでいますが、居室6畳の出入り口にはドアはありません。暖房は電気ストーブだけです。
 そして同時期、姪御さんの母親が倒れたために、Aさん宅までの訪問ができなくなってしまいました。姪御さん自身も高齢でした。おむつ交換の回数は減り、食事も不規則となり、じょくそうは徐々に悪化しました。介護保険では単位数を超えるのでエアーマットの利用はできないと言われ、医療保険での訪問看護で毎日じょくそう処置に通いました。

●半日電話かけしても見つからない

 じょくそうは一時は良くなったかと思われたのですが、便汚染、尿汚染の繰り返しで一気に悪化しました。じょくそうからの感染により外科的治療が必要となり、1週間後にオープンする中野共立病院への入院が待てず、他の病院へ緊急に入院依頼をすることとなりました。
 Aさんの状態も悪かったため、診療所で点滴をしながら入院依頼の電話かけをしました。いつもお世話になっている病院から順番にかけ、費やした時間半日。なかなか受け入れてもらえません。「ベッドが満床で」「形成外科がないので」「保険の種類は?」等の理由です。中には「どういう病院か知っててかけてきたんですか? うちは手術する患者しかとらないんです」とけんもほろろの病院も……。
 20件近く連絡しても病院が決まらないのです。Aさんには申しわけなかったのですが、一旦自宅に帰し救急車を呼ぶことにしました。かけつけた救急隊の方も懸命に探してくれました。T大学病院が受け入れを了承してくれたのはその1時間後でした。

●あきらめない!

 今、高齢者の入院は非常に厳しい状況にあります。入院ができても、少し良くなるとすぐに「次に転院できる病院を探してください」と言われます。当診療所でも何度か相談を受けています。Aさんもその一人です。
 年金生活で高齢の母親をみているKさんは言います。「部屋代(差額ベッド代)を払えば入院ができるけれど、長い期間はとても払えないよ」と。
この事例を通しても、誰もが平等で安心できる医療が受けられるよう、あきらめず運動することが必要だと痛切に感じています。



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