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協同組合報vol.48

トピックス 寄稿

亜急性期「療養病床」の運用で、7:1看護配置基準の実現と経営改善の検討を

みさと協立病院 副院長 生田 利夫

1. 06年診療報酬改定は、旧「療養病床」への決別と急性期評価の明確化

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みさと協立病院で(中央が生田医師)

 06年診療報酬改定を前にして、療養病床★(3)(番号をふった用語は文末の解説参照)での「社会的入院」が問題とされ、38万床を15万床に削減する方針が厚生労働省より出されました。さらに、診療報酬改定では、療養病床の患者の入院基本料が、病棟ごとの一律の包括診療報酬であったのが、医療区分とADL評価にもとづき、患者ごと、1日ごとに評価するケースミックス分類による包括制の診療報酬体系となりました。
 みさと協立病院では、医療区分1とされる患者が5割以上を占めており、経営困難になるため、2病棟のうち1病棟(60床)を「障害者施設」★(4)に転換し、療養病棟(医療40床、介護20床)に、医療区分2、3の患者さんに移動していただきました。
 東葛病院でも、「障害者施設」に転換し、代々木病院では、「障害者施設」に移行して、「回復期リハビリ病棟」へと転換しました。
 一般病床では、急性期★(1)評価をした7:1看護配置基準★(5)が導入されましたが、病棟単位ではなく、病院単位での配置基準となり、病院内の傾斜配置で、急性期対応の病棟が7:1基準を満たしていても、評価に結びつかないこととなりました。一般病床全体として7:1基準とならないと高い診療報酬が得られないので、全国的な看護師争奪状況となっているのです。

2.第1段階の新「療養病床」  ――旧「療養病床」からの移行

 全日本民医連の「療養病床」調査では、06年9月段階で、日当点の最も高かったのは、戸畑健和病院の4病棟(196床)の中で、医療区分2、3の患者を集中させている1病棟(49床)で、2477点でした。 人工呼吸器3、24時間持続点滴3、酸素療法6などの医療区分3、人工腎臓17など医療区分2を看護師23人、介護職4人で対応しています。 夜勤は、看護2の3交代勤務です。
 また、みさと協立病院では、医療療養40床に、酸素療法5、人工腎臓20など、医療区分2、3の患者を集めることで、医療療養病床の日当点は、2092点。健和会大手町病院の医療療養(58床)では、24時間持続点滴3、人工呼吸器1、酸素療法6、喀痰吸引頻回9、頻回の血糖検査13などで、日当点が2022点となっていました。
 みさと協立病院では、医療区分対応に習熟し、適切なコーディングをおこなうことと、医療区分1相当の新規入院患者を抑制することで、「障害者施設」での医療区分2、3の患者比率も高まりつつあります。外来管理患者の肺炎や心不全など急性増悪での入院対応、精神疾患や認知症などのため、一般病床の教育入院になじまない患者の高血糖コントロールなども、取り組まれています。

3.第2段階の新「療養病床」  ――亜急性期「療養病床」へ

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みさと協立病院で

 医療必要度の高い患者は、病棟単位で、診療報酬の決まる包括性の旧「療養病床」では、算定に結びつかない検査、治療を必要とする患者であり、入院を積極的にはおこなえませんでした。それがケースミックス分類により、患者ごとの医療区分に応じた診療報酬となったため、病棟での、医学的管理能力を向上させることで、収支の改善がはかられることとなり、医療必要度の高い患者の受け入れもできるようになりました。
 「一般病床」での30日超の入院基本料が、10:1看護基準で、1269点、13:1看護基準では、1092点です。検査、投薬は、出来高算定ですが、30日超での入院では、14日以内のときのような高価な、あるいは頻回の検査や、悪性腫瘍をのぞいては、高価薬は必要としないことが多いのです。医療区分3の療養病棟入院基本料1740点、医療区分2が、1344あるいは1220点であるときに、包括されない処置(人工腎臓、人工呼吸器など)、包括されない投薬(腫瘍薬など)、包括されない注射(腫瘍薬)を加えたときに、「療養病床」が優位であることも起こります。
 旧「療養病床」から転換し、医療区分1相当の患者を緊急避難させる病棟となった「障害者施設」は、平均在院日数のしばりがなく、長期に入院を必要とする患者の病棟です。包括制ではなく、出来高算定であるため、必要以上の検査、治療を誘発しやすく、「薬漬け、検査漬け」と、かつて問題にされた「老人病院」の復活につながりかねません。今後の診療報酬改定で、「特殊疾患入院施設管理加算」★(6)(1日350点)の廃止あるいは、大幅な減額で、運用の見直しを迫られるでしょう。
 「医師及び看護師による24時間体制での監視・管理を要する状態」は、現行でも医療区分3とされています。医療区分1にとりのこされた疾患、状態の中で、医療区分2、3とすべきものがあるかどうかについての調査がおこなわれ、医療区分2が拡大されることで、亜急性期★(2)医療の病棟としての、「療養病棟」の役割がさらにあきらかになってくるでしょう。

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4.「医療区分」導入の背景

 療養病床の診療報酬支払いにケースミックス分類による包括化である「医療区分」が導入されたのは、池上直己氏(慶応大学医学部医療政策・管理学教室教授)が、中医協の調査委員会で「慢性期入院医療の包括評価」を主導したことによります。
 池上氏は、欧米では、一般病院の平均在院日数は14日以内であり、引き続き治療、リハビリテーションが必要な場合は、ナーシングホーム★(7)・慢性期病院に移っている、入院医療が「急性期」と「急性期以外」に二分されているとのべています。
 病棟ごとの包括化から、ケースミックス分類による包括化への検討は、アメリカのナーシングホームにおける長期療養患者に対するケースミックス分類として開発されたRUG(★8)(Resource Utilization Group,資源消費群)分類の検証として、1991年より、池上氏らによって取り組まれ、2003年に、「日本版RUG分類」が開発されました。
 今回の医療区分にも、24時間の持続点滴やドレーンの管理など、旧「療養病床」の入院対象でなかった病態が、医療区分3とされて入れられています。これらは、亜急性期の医療内容です。

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みさと協立病院で

5.亜急性期「療養病床」の活用で、7:1の急性期看護基準の達成を

 心筋梗塞、肺炎、高血糖昏睡、劇症肝炎、急性腎不全など急性期疾患による入院で、14日をこえて入院が必要な状態は、(1)治癒となっても廃用をきたしたためにリハビリを必要とする状態、(2)病状が遷延し亜急性期の治療を引き続き必要とする場合です。(1)は、「回復期リハビリ病棟」での対応となりますが、(2)は、これまで、「一般病床」での対応とされてきました。外科手術の入院でも、同様です。医療区分での対応を適切におこなえば、「療養病床」での治療継続が評価され、経営的にも成り立つ報酬設定となっています。
 「一般病床」でおこなわれている亜急性期の対応を「療養病床」に転換しておこなうことで、「一般病床」での在院日数の短縮、ならびに、急性期に傾斜配置されている看護人員で、7:1看護基準取得が容易になるのです。
 現場の業務の見直し、診療内容の適正化を通じて、「療養病床」の再活用をはかる時期にきているといえます。

【用語解説】

1.急性期
 発症後、術後の平均14日以内の期間。

2.亜急性期
 急性期を過ぎてなお治療の継続が必要な期間。

3.療養病床
 06年の診療報酬改定までは、長期の療養のための入院が必要な患者の病棟であったが、診療報酬改定以降は、医療区分で、疾患、病態に応じて診療報酬が変わることとなり、急性期以降の治療の継続を必要とする患者の入院病棟に定義が変わった。

4.障害者施設
 特殊疾患入院施設管理加算を算定している一般病棟。

5.看護配置基準
 看護師一人が、日勤、夜勤など各勤務帯の平均で、何人の入院患者をみているかをもとに算定される。1病棟で、36人の患者に対し、10:1では約18人、7:1では約26人の看護師が勤務する。

6.特殊疾患入院施設管理加算
 重度の肢体不自由の状態にある患者を7割以上入院させている病棟で算定できる。1日350点(3500円)

7.ナーシングホーム
 米国で、急性期の治療が終了した患者や長期の療養が必要な方が入所する施設。日本での、回復期リハビリ病棟、療養病棟、老人保健施設、特別養護老人ホームの機能をあわせもつ施設。

8.RUG分類
 ナーシングホームで、急性期以外(亜急性期から長期療養)の患者に対して診療報酬を決めるときの分類。疾患、病態ごとに、ケアの時間や、検査、治療の必要性を加味して決められる。

【参考文献】
講座:医療経済・政策学第2巻『医療保険・診療報酬制度』(勁草書房) 第5章「急性期以外の入院医療のための新たな支払い方式」(池上直己)



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