効率的なシステムを作りつつ、
知識やノウハウは内部の人間に蓄積していく
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左から藤井さん、武井さん、高木さん、
福田さん |
私たちの「事業協同組合 医療と福祉」は2002年3月に設立され、今年度で丸5年を迎える。組合員数は9ページに示すように8組合員となり、相互扶助の精神にもとづいた共同事業を行っている。また、民医連の他の協同組合や団体、企業との連携も進んできている。そこで、5周年を機に、それらの諸団体を紹介する企画を組もうということになった。名づけて「『実践と自流』を訪ねて」。それぞれの実践と、その中に流れる自流、つまり個性を紹介しようという企画である。
トップバッターは「保健医療福祉協同組合」だ。この名前を聞いて「それ、どこ?」と思う人も、「健和会」といえばピンと来るだろう。「健和会グループ」が母体の協同組合だ。2月のある日、北千住駅から歩いて10分の「保健医療福祉協同組合会館」を訪ねた。「名前が長いのはナンだけど、古いながらも自社ビルというから、さすが……」などと感心しながら訪問を告げると、驚いたことに、代表理事の武井幸穂さんのほかに、それぞれの事業部の責任者の方3人も資料をそろえて待っていてくれた。「うちはそれぞれの事業に特徴があるから、それぞれの責任者から説明をしたほうがいいと思ってね」と武井さん。この辺りの心配りはさすがだ。
ということで、全体像は武井さんから、事業の特徴は3人からそれぞれ説明してもらうことになった。
●共同購買事業
医療材料や医療機器を共同購入する。これは民医連のどの協同組合でも行っているメインの事業だが、「うちの特徴は、消耗品まで含めて共同購買していることです。消耗品全てをやっている所はまださほど多くないのではないでしょうか」と共同購買事業部部長の福田智之さん。一見目に付かないところも細かく見ていくと、コストに非常に反映する部分があるという。
「たとえばトナーを例にとると、トナーだけで年間1千万円購入しています。うちではエコ(再生品)を使っているのですが、純正と比較すると4分の1の価格です。全部純正を使ったら4千万円になるわけで、消耗品までしっかり管理することで大きなコスト削減をはかることができます」
一方で、コストの高い材料をいかに管理するかがじつはとても大事だという。「たとえば、オペ室、透析、循環器系で使うコストの高い材料は全体の6割を占めるんです。その部分をしっかり管理しないと、コストは下がりません」
さらに医療材料の物流管理も購買事業部が担当する。昨今、SPDシステムが救世主のように言われているが、大学病院でもまだこれというシステムは確立されておらず、市場でも模索状態だという。そうした中でも共通しているのは民間委託が主流であることだ。
「民医連でも外部化がほとんどです。システムも人間も。一見そのほうが効率的に見えるんですが、結果としてメーカーに仕切られてしまう場合がありますので、うちはそれを内部で行っています。システムそのものは効率的なものを作りつつ、知識やノウハウは内部の人間に蓄積していく。こうした構造を意識的に作り上げていることもうちの大きな特徴です」
そのうちの一つである供給システムはカート(写真)を使って行う。カートに決まった数の医療材料を入れ、それを各医療機関に出し、診療所なら2週間に1回交換する。戻ってきたカートで、減っている本数を数えれば、使った材料の数がわかるという仕組みだ。カート交換回数は月に200回、みさと健和病院だけで100回弱の交換になるという。
さらに印刷部門も立ち上げ、名刺やパンフレットはいうに及ばず、横断幕、パネル、のぼり旗まで自前で印刷する(写真)。
●共同情報事業
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配給システムを担うカート
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保健医療福祉協同組合は認可団体だが、健和会グループにはもう一つ、東都保健医療福祉協議会という任意の組織があり、17法人123の事業所が加盟している。この広範囲で複合的な組織を一つにまとめるためには、情報システムの共有が不可欠だ。情報システム事業部部長、藤井幸子さんはこう話す。
「123事業所全部にインターネットを接続し、グループウェアも動かして、情報共有を進めたり、掲示板機能を使って、リアルタイムに会議の情報を流したりしています。グループウェアは常勤職員プラスアルファで1500人ぐらいのユーザーがいて、かなり大規模に使われています」
グループウェアを使うことで、職員の意識改革も含めて、仕事の仕方自体が変わってきたという。まず、スピードが相当速くなったそうだ。会議の日程調整一つにしても、すぐに調整できる。レジュメも事前に流して、各自読んでから会議に出席する。
また、コンピュータの共同購入も行っている。購入を1本化することで製品を統一することができ、ソフトウェアの管理も統一してできるようになり、サービスの向上につながっているという。さらに、コストダウンをはかることもできる。
「最近、ウィルス対策ソフトも、交渉する中で初めて一括購入できるようになりました。これは画期的なことです。さらにレセプトコンピュータや介護保険関連ソフトなども統一して入れていますので、職員が異動してもすぐに動かすことができます」
電子カルテでも情報システム部は大きな力を発揮した。おととしオープンした柳原リバビリテーション病院では「電子カルテといっても医療のグループウェアだよね。自分たちの使い勝手のいいものを作ろう」と、相当の苦労はあったようだが、ついにシステムを自分たちで作り上げた。
●共同施設利用事業
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消耗品が並ぶ倉庫
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これはどういう事業ですかと尋ねると、「いわば不動産業です」と協同組合事務局長の高木美子さんは笑った。「この事業は民医連の中でもうちだけだと思いますよ。現在、自社物件は7棟です(1ヶ所、土地のみ)」
要するに、組合で土地や建物を取得し、複合施設を建て、組合員に貸すという事業を展開しているのだ。自社物件第1号は江戸川区葛西の「かさい保健医療福祉ビル」だ。第2号はここの「協同組合会館」、第3号はリップルの土地、第4号は「すみだ医療福祉会館」、第5号は現在進行中の葛飾区水元の5階建てのビルだ。これから改修工事が始まる。
「1階には薬局と訪問看護ステーション、2階に診療所、3、4階に高齢者住宅が入ります。ひこばえ会が診療所を、葛生協が訪問看護ステーションを運営する予定で、これは初めてのグループ外法人との連携という試みであり、一回り連携がひろがります。高齢者住宅も初めての画期的な事業で、同時進行で柳原でも作る準備を進めています」
転貸事業も行っているという。協同組合が一括して賃貸契約を結び、組合員の事業所が入るという形態をとる。「常にここが窓口になることで情報が集中しますから、ノウハウを自分たちで蓄積できるのです」
組合員の事業や経営に役立つ事業を行うということがどういうことなのか、三つの事業内容を聞いて、理解できた気がした。
● 次は何をしたいか
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印刷ができあがったのぼり旗
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横断幕印刷
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これらの事業のほかに、教育事業、共同事務委託事業、金融事業、職員保健衛生活動、職員募集活動も行っている。教育事業では、学校法人・介護福祉専門学校の開設を計画している。さらに組合員の事業のなかには、清掃・滅菌・施設管理事業、一級建築士事務所、配送事業、はてはセレモニー事業まであるというのだから驚いてしまう。
一方で、組合間連携、法人間連携も進めてきており、この間、東京勤医会と千葉勤医協の連携で福祉協同サービスと給食事業のリップルを立ち上げた。また3法人でマンモグラフィの健診車も共同購入した。
「共同事業というのは共同購買や共同事務委託にとどまらず、多種多様にあるわけで、協同組合のスケールメリットを生かすとか、相互支援をするとか、考えればいくらでも出てくる」と武井さん。3人の口からも「次の事業を考えたい」という言葉が自然に飛び出す。
「今、何ができるか」「次は何をしたいか」を常に考えているらしい職員がいることが、この協同組合の最大の特徴かもしれない。
【組合の概要】
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| 名称 |
保健医療福祉協同組合
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| 所在地 |
〒120-0036 東京都足立区千住仲町14番4号
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| 地区 |
東京都及び埼玉県の区域
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| 責任者 |
代表理事 武井幸穂
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| 設立年月日 |
2000年9月18日
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| 出資金 |
9,510万円
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| 組合員 |
21組合員
(医)健和会、(医)健愛会、(医)南葛勤医協、
(医)アカシア会、(株)ファミリーケア、
(福)すこやか福祉会、(株)健康サービス、
(株)メディックス、(株)福祉協同サービス、
(株)給食協同サービス・リップル、
(福)おあしす福祉会、ほか
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