協同組合医療と福祉 ゆたかな医療・介護・福祉をこのまちに medical&welfare
HOME BACK
協同組合報vol.47

看護NOW(第20回)

Nさんと、生後1ヶ月の赤ん坊が危ない!

わかくさ訪問看護ステーション 山崎 由美子

 2006年8月末、名古屋の娘さん宅で介護サービスを受けていたNさんが、当市(我孫子市)の自宅に戻りたいので、ケアマネを受けて欲しいと依頼があった。
 Nさんは、糖尿病性網膜はく離から左眼失明、右眼も網膜症で視力が0・06という状況。しかもインシュリンの自己注射を朝と夕2回実施している。一昨年末には、幻覚、妄想が頻発。警察を4回も呼び、独居は無理と、名古屋の長女宅に引き取とられた。今は症状がないというが、眼が不自由で独居が可能なのかと、不安がよぎった。

●孫夫婦と乳児が転がり込んできた!

 2006年8月の介護認定更新で、要介護3。本人の自主性を尊重して、週2回の家事援助と週1回の買い物、外出支援サービス、週1回の病状観察の訪問看護でスタートした。1ヶ月経過した頃、同じものを購入するのに気付き、サービスノートで事業所間の情報を共有することにした。病状、生活が落ち着いたかと思っていた矢先、11月末に、名古屋の長女から連絡が入った。
 「2日前から、私の妹の長男夫婦(M君とTさん)が転がり込んできたらしい。生後1ヶ月の乳児も一緒。家賃滞納で、アパートを追い出された。妹(母親)宅には行けず、困っておばあちゃん宅に行ったのでしょう」
 何ということか。Nさんも突然のことで、どうすることもできず面倒をみることになってしまったようだ。M君は、お金が貯まるまで置いて欲しいという。日雇い労働を始めたが、Tさんは何もせず、赤ん坊が泣けばミルクを与えるといった状況だった。

●育児放棄の問題も…

 Nさんは、ストレスから眠れず、インシュリンを打ち忘れたり、認知症状が出現した。
 名古屋の長女に連絡を取り、「とても同居は無理。Nさんの病気が悪化してしまう。孫夫婦の生活を何とかできないか」と相談した。長女は「M君の母親は、自分の生活(一人暮らし)で精一杯、Tさんの実家は、(実は、二人には3歳になる長女がいて、育児放棄と虐待があったため、養女にして育てている経過がある)もう面倒はみられないと勘当されている」と、八方塞がりであることを話した。それでも、「市川にいる長男に生活支援できないか聞いてみる」と付け加えた。
 育児放棄のことがあるため、保健センターへ相談した。当市に住民票がないが、Z市から依頼されているため、継続訪問は可能とのこと。さらに、二人とも知的障害のボーダーラインなのでフォローが必要と認識している。赤ん坊は、心雑音が指摘されているため、発育チェックが必要とのこと。連絡をとってもらえることになって、安心できた。
 しかし保健師への返信がなく、突然訪問することになった。Nさんも、「早く出て行ってもらいたい。お金なんか貯まるわけがない」と言うが、孫夫婦のため追い出すこともできずにいた。

●見守って

 12月に保健師が訪問、Tさん親子に面談できた。今後のこともあるので、3人で育児相談に来所することになった。隣近所も心配して、孫夫婦に言い寄ることもあったようだが、Nさんが、介護サービスで比較的落ち着いて生活できているため、それ以上険悪に至らなかった。
 年末年始の時期はサービスが減るため、名古屋の長女に相談した。また、育児放棄のことが気になり保健センターとも相談した。緊急連絡体制を取ったが、無事に年始が明けた。市川の長男が自営のため、「自分のところで働かせる」と言ってくれた。本人達もその気になり、ようやく生活の基盤ができはじめた。まだまだ気がかりではあるが、見守るしかない。
 生活基盤が不安定な若い人達が多い。自立ができるのだろうかと不安も大きいが、何も特別なことではなく、どこにでも起こり得ることだと、痛感した。



前号へ    次号へ
Copyright(c)2003 medical & welfare All rights reserved.