「年寄り相手にこんな小さい字の名刺じゃ困るよー!」
日に焼けた笑顔でハキハキと話されるKさんに初めてお会いしたのは診療所の外来でした。電動車椅子に乗り、いつでも一人で通院されるのです。
72歳の男性Kさんは、大腿骨骨頭壊死のため長い時間立っていることができません。家の中をやっとつかまりながら歩くことができる状態です。しかしできることはできるだけ自分で行うように努力されています。電動車椅子に乗って好きな釣りに行ったり、ちょっとした買い物にも行くようにしています。
今回Kさんの介護保険の認定は要介護1から要支援2になりました。4月からの介護保険の法改正で要介護1、要支援の方は車椅子の利用が難しくなることを説明したところ、娘さんから「お父さんは車椅子があるから外に自由に出られるんです。車椅子が無くなったら家にこもってしまう」と大変心配されていました。Kさん自身も納得できない様子でした。Kさんから車椅子を奪うことは、足を奪うことでした。
8月8日、野田市内の居宅介護支援事業所の会議があり、車椅子を軽度の介護度の方にもレンタルするためにどう対応するか、市の方に確認しました。そこで、「医師や理学療法士から車椅子が必要である旨と、サービス担当者会議で必要性が位置付けられていることで、介護保険でレンタル可能である」と回答がありました。早速、主治医へケアマネから連絡をとったところすぐに返事があり、「車椅子の利用は必要である」と文書で書いて送って下さいました。サービス担当者会議でも位置づけ、市に連絡したところ、Kさんの電動車椅子は引き続き介護保険でレンタルできることとなりました。
今回主治医の先生がすぐ対応してくださったことも大きな力になりました。Kさんはベッドのレンタルは無かったのですが、要介護1以下の方はベッドのレンタルは今のところ自費で保険が利きません。この制度の改悪のために必要なサービスを取り上げられる患者さんが次々に出ています。なんとかこれをとどめる対策の必要性を日々感じています。
(野田南部訪問看護ステーションそよかぜ居宅介護支援事業所 五十嵐きよみ) |