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協同組合報vol.41

事業所を訪ねる(40)

(医)東京勤医会 野田南部診療所


日常の積み重ねを大事にしつつ、多面的に、多角的に



地道に真面目にコツコツと

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外観

 野田南部診療所が野田市の南部にオープンしたのは1994年9月、今年で12年になる。外来・在宅・健診の三つの分野を総合的に推し進めてきており、身近な診療所として地域の信頼は厚い。
 ここの所長になって6年になる小島昌也所長は、「診療所の医療というのは派手なものは何もないです。地道に真面目にコツコツとやってきました。小さかった子どもたちが中学生になった姿を見るにつけ、長くやってきたなと思います。と同時に、ずっと続けて来てくださる患者さんが大勢いらっしゃることは本当にありがたいと思いますね」と語る。
 外来には赤ちゃんからお年寄りまで幅広い年齢層の患者さんが受診し、その疾患は急性期から慢性疾患までさまざまだ。さらに「何となく体が重いんだけど」といったはっきりしない症状を訴える患者さんも含めて、診療所の医療はとにかく幅広い。加えてここでは、内視鏡やエコーなどの検査も行っており、患者件数は月平均1000件を超える。
 また、野田市の基本健診の取り組みも積極的に展開しており、昨年度は939件にのぼった。これを7月から9月の3ヶ月間で行うわけだから、1ヶ月平均300件以上ということになる。所長は「忙しすぎて、やりたいこととやれることは違うということがわかってしまった」と苦笑しつつも、「診療所が地域から認知されていることは日々実感します。その信用を裏切らないようにしたい」と話す。
 所長一人では回らないため、今年から基本健診期間は週3単位、医師を二人体制にした。往診は月平均40件、外来1単位の診療も行っている相澤医師が担当する。
 所長の言う「地道に真面目にコツコツと」という診療所の姿勢は経営成績にも表れており、去年は経常利益2300万円の黒字を出した。数字に高低はあっても、開設以降12年間一度も赤字になったことがないというからすごい。
スタッフは所長、看護師常勤3名(基本健診期間中は3・3名)事務常勤3名、パート0・5名(基本健診期間中は4・3名)だ。

改修完了、評判は上々

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スタッフ一同(左から日巻事務員、多田看護師長、大澤看護師、小島所長、鷺谷事務員、古林事務長、田村看護師、近事務員)

 「明るくなったし、広くなったよね」
 「キッズルームがステキになって、うちの子、待ち時間の間中、夢中で遊んでます」
 診療所は去年暮れから増改築工事の準備に入り、今年7月初旬に工事完了、患者さんの評判は上々だ。主な改修点は次の通りだ。
1.診察室と処置室がカーテンで仕切っただけだったので、プライバシーが守れなかった。また、診察室の出入り口が1ヶ所しかないため、医師がレントゲンをとる場合、患者さんの前を通っていかなければならなかった。
2.患者さんの動線と看護師・事務員の業務動線が交差していた。
3.事務作業スペースが狭い。
 これらを解決するために、道路側に135cm広げ、診察室と処置室を独立させ、診察室の後ろに出入り口を作った(写真(1))。処置室、事務室の面積を広げた。また、診察室の後ろに通路を作り、患者さんと交差せずに、事務室・処置室・診察室の職員の移動がスムーズにできるようにした。閉塞感のあった室内が開放的・機能的になり、所長も「舞台裏ができたね」と喜んでいる。
 この他にも、患者さんの目線に立った小さな改修が随所にある。全部は無理なので、三つほど紹介しよう。まず待合室の椅子だが、患者さんが立ち上がる時に楽なように、手すりをつけた(写真(2)手前)。また、背の高さの違う椅子を用意し、座り具合を自分で選べるようにした(写真(2)奥)。
 それから、「これは便利!」と思ったのが、受付カウンターにバッグ置き場を作ったことだ(写真(3))。キッズルームも子どもが遊びたくなる空間を演出している(写真(4))。

やっぱり大事なのは地道な実践の積み重ね

 「地域の広範な人たちとの連携が大事」とはどこでも言われることだが、それを主体的に具体的に進めていくとなると、これほど大変なものはない。地域に働きかけるという点で、野田南部診療所の取り組みは「ひたむき」という形容がぴったりだ。
 まず、友の会や地域の諸団体と協力して毎年「健康まつり」を開催してきて、今年で12回を数える。平和と健康を継続してテーマに取り上げ、今年は9条落語を記念講演の一つにした。他にも舞台の出し物やこま作りの実演、相談コーナーなど盛りだくさんの企画で、去年は約500名が集い、秋の1日を楽しんだ。
 「診療所規模で体制も少ない中で成功させるには、緻密な事前準備と地域の方々との連携があってこそです」と古林事務長は言う。
 民医連では共同の輪の大きな力である「友の会」の会員を増やす取り組みを進めているが、「野田医療と健康友の会」は去年1年間で会員を116名増やし、目標達成率では勤医会の中でだんとつトップの成績をあげた。年間目標が50名だから、その数字のすごさがわかる。なぜこんな数字が実現できたのか。「仕掛けはやっぱり地道な種まきの積み重ねなんですよ」と事務長は話す。
 「地道な種まき」とはこういうことだ。04年8月に友の会の会員さん訪問を行い、12月から05年9月まで毎月土曜日の1日を地域訪問の日と決め、診療所と友の会幹事さんとが協力して班を組み、定期的に訪問活動を続けてきた。診療所の職場会議では「一人の10歩よりも10人の1歩」と繰り返し提起し、職員全員の取り組みになるよう努力した。
 また、10月からの共同組織拡大月間中、友の会幹事さんが連日コツコツと「入会お勧めティッシュ」を配りながら来院患者さんに加入を勧めたことも大きな成果につながった。

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(1)診察室の小島所長。後ろに出入り口と通路ができ、動線がすっきりした (2)待合室の椅子
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(3)受付カウンターに取り付けたバッグ置き場 (4)キッズルーム

「継続は力なり」の取り組みと広範な人々との連携を創造する

 こうして友の会会員を増やしながら、友の会と連携して毎月何かしらの行事があるというぐらい多彩な取り組みを繰り広げているのも、ここの大きな特徴だ。主なものをあげると、在宅療養の患者さんに外の景色を見せてあげたいという家族の思いから始まった恒例の「若葉を見る会」は今年10回目を迎えた。回数もさることながら、参加人数がまたすごい。患者さんとご家族、職員、ボランティア、研修医、看護学生と今年は総勢66名が参加、若葉の季節をゆっくりと楽しんだ。参加人数は例年50〜60名にのぼる。
 「子ども保健学校」も毎年秋に開催し、今年で9回目になる。去年は「命の大切さ」をテーマに開催、子どもたちの表情は真剣そのものだ。
 この他にも、健康体操教室、子どもなんでも相談、医療懇談会、バスハイクなど、とにかく盛りだくさんだ。
 また、昨年から事務長が理事として参加している「野田市介護サービス事業者協議会」の取り組みも見逃せない。今年4月に「リハビリ学習会」を開催したところ、平日の午後にもかかわらず68名もの参加があった。7月には事務長の紹介で中澤正夫医師の講演会「職場のメンタルヘルス」を開催、101名が参加し大盛況となった。8月には東葛病院の看護師の協力で「感染症について」の学習会を開き、56名が参加、これも好評だった。
 「すごくいろいろなことを多面的に多角的にやっていると自負しています。これらを日常業務をきちんとやりながら企画・実践するわけですから、自分の首が絞まっちゃうわけだけど(笑)、管理者に必要なセンスは、様々なことを想像(イメージ)し、創造しながら発信することだ私は思っています。そして、『誰かがやってくれるだろう』ではなく、自分たちが今できることを精一杯やっていくこと」と事務長は言い、こう締めくくった。
 「こうして地道な積み重ねが粘り強くできるのは、東葛病院の倒産時に地域の皆さんに支えていただいたという感謝の気持ちがあるからです」



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