療養病棟での看取り
東葛病院療養病棟・看護師長 野口 輝美
療養病棟が創設され早5年がたちました。東葛病院の療養病棟は、ショートステイと、一般病棟からの転棟で在宅調整と転院待ちの患者さんが対象となる病棟です。しかしこの1年で「ターミナル患者さんの看取りの依頼」が3件ありました。依頼の内容はさまざまでしたが、どの方もしずかに職員やご家族に見守られて穏やかな死を迎えられました。療養病棟の役割に新たな展開が訪れた?といった感想で戸惑いもありました。
有料老人ホームが増えていく中で、療養病棟の看取りも必要となるのではないかと感じています。ご家族本人の希望を正面から受け止め、しっかりと要望に沿った最期のときをすごせる場でもあると思います。
●私たちに何ができるかを探りつつ
3月13日に有料老人ホームからSさんの看取りを依頼されました。
Sさんは86歳で、当病院の循環器の患者さんで、ペースメーカーの植え込み等で入退院されていました。ペースメーカーの電池交換の時期が来たら、交換するかどうかの話し合いを行いました。「機械に生かされるのはいやだ」「このまま自然に」と希望され、ご家族ともども合意され、電池交換は行いませんでした。しかし、予後1〜2週間というところで、ホームでは看取りはできない、とのことで入院の依頼がありました。
お食事は食べられず1時間毎の飲水介助と、うがいの介助を行っておりました。ご家族は、最後までポータブルトイレへの介助を強く希望されていました。ご家族の希望に沿ったケアを通して、私たちに何ができるのか…探っていきました。
●「お風呂に入りたいわ!」を実現させる
とてもしっかりとご自分の意思をお話しされる方で、「お風呂がすきなんだけど、このところ入れてもらっていないの……入りたいわ!」と望まれました。私たちは、何度も徐脈発作で意識をなくすことがあったということと、「医師から予後1週間と告知をされている」という状況の中で、悩みながらの結論ではあったのですが、もしものことがあっても入れてあげたい!!と考え、職員のこの思いを医師とともにご家族に伝え、亡くなる3日前にストレッチャー入浴を実行しました。「本当に気持ちよかった! うれしい!」と満面の笑顔で答えてくださいました。
そして3日後、娘さんに見守られて静かに「スーっ」と息を引き取られました。ほんの5分前までお話ししていらっしゃいました……。とても穏やかな最期でした。
今後は、こういった役割も療養病棟に求められることと思います。大事なときを充実させられるように、看護・介護に力もつけていきたい。「悲しいけれど、ここで看取られて幸せだった!」といってもらえるように……。
現在のような療養病棟の存続が危ぶまれる今回の診療報酬「改定」の中では、患者さん、ご家族の方のご要望に応じきれない状況があります。そのような「改定」に憤りを感じています。本当に患者さん、ご家族の方の要求にあった看護・介護ができる療養病棟にしたいと強く思っています。
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