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協同組合法vol.34

看護NOW(第7回)

在宅での終末期を支えて
クリニック千駄ヶ谷 藤島百合子

 クリニック千駄ヶ谷が訪問診療を開始して、5年になりました。現在は、登録者数100名で、1ヶ月の利用者数約90名、延べ件数約180件です。

 主に、外来通院が困難な方へ2週間1回の定期的訪問診療をしています。ここ最近は、他院通院中や入院中の方からの訪問診療の依頼もきています。

 そんな中で、在宅看取りのケースも多くなってきています。心に残ったOさんとの関わりを報告します。

 Oさんは、91歳の男性です。妻と娘さんとの3人暮らしで、お二人で介護されていました。5月初旬から腹痛、食欲低下がみられたようでしたが、病院受診を拒否されていました。とうとう痛みが治まらず、5月10日にY病院受診後、入院となりました。

 検査で胃癌の疑いとなり、絶食となりました。Oさんは、点滴はさせてくれますが、鎮痛剤は拒否されていました。Oさんは、「苦痛は楽にならないし、希望がかなわない(浣腸をしてくれない)」と、自宅での療養を希望され入院3日目で退院となりました。急な事態で、退院後の準備もないままケースワーカーから、早急に訪問診療必要との依頼で退院翌日の5月13日から訪問診療開始となりました。

 Oさんは退院時、少量の水分を介助であげても吐いてしまう状況でした。超難聴でメガホン使用しお話を伺いました。「お腹に傷があって痛む」と訴えられますが、「知覚神経を麻痺させ、他の病気が出てもわからなくなるので私は使いません」と鎮痛剤の使用は拒否されていました。

 13日〜17日まで点滴を1日1本(500ml)していましたが、18日の訪問診療時「点滴はしたくない」と訴えられました。ご家族と話しあい点滴は中止としました。またご家族から、「苦痛がひどく、夜間2時間ごとにベッドの上げ下げなどで対応しているが、なかなか落ち着かない」との訴えがきかれ、18日からデュロテップパッチ2・5mgを使用開始してみました。これで痛みのコントロールができ、夜間も眠れるようになりました。

 訪問診療ごとにご本人の訴え、希望を根気よく聞き、家族へは今の状態、今後予想される経過、治療方針について毎回、時間をかけて話をしました。家族から本人の希望に添うかたちで、家で看取っていきたいとの希望で、その後も点滴は行わず、退院11日目の5月23日にやすらかに永眠されました。

 Oさんは、病名の告知はされていませんでしたが、自分はこうありたい、こうしてほしいとの考えをしっかりもたれていました。

 医療者としては、何もしないという医療行為への葛藤もありましたが、苦痛の緩和と安らかな死への援助、そしてその過程においては医療のおしつけでなく、患者の望む納得のいく方針で、残された日々を充実した形で過ごすことができるよう援助していきました。家族にとっては突然の病名・予後の告知であり、医療者と本人との思いの間にはさまれ、不安・恐怖・焦りなどがあり、どう対応してよいかという戸惑いがみられました。訪問診療ごとに病状のこと、今後のことをわかりやすく説明することをこころがけ、家族の話を聞く時間を持ちました。ご家族も状況を受け入れ、安心して介護にあたられ、穏やかな看取りができたのだと思います。

 家族が不安を我慢することなく訴えやすいように、あるいは家族の疲労度を察知し、すぐに対応し安心して介護ができるよう支えることが、私たちの大切な役割です。今後も患者とその家族のよき理解者であり、よき協力者になれるよう頑張っていきたいと思います。



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