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協同組合法vol.31

トピックス/連携・交流をさらに進めていくために――理事長就任にあたって

(医)東京勤労者医療会理事長 鈴木 篤
  (インタビュア・専務理事 千坂和彦)

【千坂】鈴木先生に東京勤医会理事長という大役をお引き受けいただき、改めてお礼を申し上げます。「協同組合報」のインタビューは通常は編集部で行うのですが、今回はお礼の気持ちをこめて、また「なんで鈴木先生が?」という声に答えるためにも、編集部の要請で特別に私のほうでインタビューさせていただくことになりました。私も話に参加させていただきたいと思いますので、対談風インタビューということで、よろしくお願いいたします。
【鈴木】こちらこそ。お手柔らかに(笑)。
【千坂】まず経緯を簡単に説明しますと、理事長を6年務められた吉田前理事長から、去年の春、「そろそろ交代したい。次の理事長を早めに検討してほしい」という要望が出されたことが発端でした。そこで勤医会理事会で検討に入り、東京民医連とも相談してきました。私自身、ぜひ鈴木先生においでいただきたいという思いが当初からありました。と言いますのも、私は東京民医連の役員を10年ほどやってきていますが、今のこの厳しい情勢の中で、東京民医連全体の課題、その中で勤医会の果たすべき役割を考えたとき、鈴木先生に来ていただくのが一番良いと思ったわけです。東京民医連や東都協議会(健和会、健愛会、南葛勤医協など)の方々のご英断をいただき、勤医会内部でも意思統一を進め、それで東京民医連から正式にお願いした次第です。

東京民医連間の連携・交流の象徴として

【千坂】先生はどういうお気持ちで引き受けてくださいましたか。
【鈴木】私が東京民医連の副会長および会長を務めて5年半になりますが、東京民医連は今、ハード面でも人材面でも大きな転換期にあります。今の厳しい医療情勢の中で転換期を乗り切るためには、東京民医連全体が連携をとって立ち向かっていかなければいけないということを、この間強く感じてきました。
 その法人間連携の具体化として、中野共立病院の建て替えをめぐって、勤医会が非常に努力をされ、健友会とともに大変な挑戦をしているという状況があります。東京民医連の立場からも、この課題はどうしても成功させなければなりませんし、私自身、東京民医連の会長として旗を振ってきた責任もあります。
 さらに、各法人の抱える問題の根底には、医師養成の問題があります。われわれ団塊の世代が定年に近づいており、次の時代を担う医師集団をつくっていかなければならないわけですが、各法人が独自で養成できるかというと、必ずしもそうとはいえません。では、どうやってそれをつくっていくか。それには、各法人間の連携、人材の交流を具体的な形で進めていくことが不可欠だと思います。会長である私が勤医会の理事長になることは、連携・交流を進めるための象徴的な意味があるのではないか、その意味での会長としての役割があるのではないか、と考えお引き受けしたわけです。

理事長職を受ける上での「困難」

【鈴木】ただし、私が勤医会理事長としてやっていくには幾つかの「困難」があると思っています。
 一つは、医療の現場で勤医会の職員の皆様と同じ釜の飯を食ったことがないということです。職員と一緒になって汗水たらして診療活動をやったことがないことは、理事長としては弱みだと思っています。とくに私は外科医で、「オレの背中を見てついてこい」という形でやってきたほうですから、その点を強く意識しております。
 もう一つの困難は、現在の業務、任務が多重すぎることです。臨床の場として、現在健愛クリニックの所長をしておりまして、今の健愛クリニックの実情からしますと、その責務はしばらく続けざるをえません。それから、足立区医師会の理事(総務部長)でして、この任期があと1年ちょっとあります。民医連関係では、全日本民医連の副会長もやっております。
 そこで私は、理事長をお引き受けするにしても、もう少し役職を整理できた後にしてほしい、とお願いしていたのですが、結果的には私の思っていたよりもテンポが早まってしまいました。そのため、当面は多重任務で行かなければならず、理事長職という重責を担う身としては大変な制約であり、職員の皆様には申し訳ないと思っています。
【千坂】勤医会としてはできればもっと早く来ていただきたいという思いがあって、本当なら今年6月にはお願いしたいというのがあったんですが、先生のご事情は十分に理解しつつ、10月1日付で就任していただきました。実務面では職員が支えていきますので、ご安心ください。

民医連の発展に貢献する中での勤医会の展望を

【千坂】先生がおっしゃった東京民医連の医師問題などを考えると、後継者づくりでかなり困難になってきているところが現実にあります。それで、早く鈴木先生に理事長になっていただき、東京全体の議論をしていくことが重要だと考えています。そういう
【鈴木篤先生略歴】
1947年10月 静岡県伊豆修善寺生まれ
66年 3月 都立小石川高校卒
73年 9月 東京大学医学部卒業(東大闘争戦中派)
74年10月 医療法人財団健和会柳原病院入職
76年〜78年 三井記念病院外科レジデント
83年11月〜 みさと健和病院外科部長、副院長歴任
94年12月 柳原病院院長就任
2002年 3月 東京民医連会長就任
03年 7月 医療法人財団健愛会理事長就任
04年 1月 医療法人財団健愛会健愛クリニック所長就任
04年 2月 全日本民医連副会長就任
05年10月 東京勤医会理事長就任
意味では、鈴木先生の就任は団結の象徴といえるものです。
 たとえば、今、宮城支援問題があります。「こっちも医師が不足しているのに、なぜ支援を出さなければならないのか」という疑問・反発もある中で、本間東葛病院長が「なぜ今支援なのか」という文書を出し、その中で、96年の「東京勤医会の医師集団形成の歴史的総括」を改めて振り返っています。そして、「勤医会が自らの発展を優先的に考えるのではなく、あくまで民医連全体の発展に貢献する姿勢を堅持し、他からの力も借りながら、勤医会の医療方針を考えていくという立場を確立する」ことを明記したこの歴史的総括を再確認しようと呼びかけ、若手の後藤医師を送り出すことを決めました。
 東京民医連でも、医療活動や医師配置の課題が迫っています。吉田前理事長も大田病院から来ていただいた経緯がありますが、ここでもう一度鈴木先生に来ていただいて力をもらい、勤医会も積極的に出ていく。そうして民医連運動全体の発展に貢献する中で勤医会の展望を考える。数えてみますと、理事の中で17人、約3分の1が他の法人の経験者です。一方、健友会理事長に高津先生が就任し、事務系の交流も進んできています。

民医連内の異文化交流

【鈴木】「なぜ今鈴木が?」という疑問は当然あると思います。この数年間私は健和会を離れ、民医連の立場で仕事をしてきましたが、略歴をごらんいただくと判りますように、私はれっきとした健和会育ちです。私の理事長就任は、突然異質なものが入ってきたと違和感を感じる方もおられると思います。
 健和会は、合理的に戦略を考え、地域の要望には先頭を切って実行するという特徴があったといえますが、民医連的な原則が弱いとの指摘もされてきました。一方勤医会は、その点では大変原則的であり、ミッションのためには、法人を挙げて取り組む心意気と底力をもっています。東葛病院との合同はその象徴です。しかし、地域を眺めると、まだ手付かずの課題もあるようにも思えます。この異質の二法人は、この4、5年間、事業展開で協力関係を築いてきた実績があります。しかし私がこの間、勤医会の会議に出ただけでも、法人の風土の違いを感じております。感心することも多々あります。私が理事長になることで、民医連内の異文化交流となり、ある種の緊張感の中で組織を活性化することができたら、私が勤医会にきた意味があったといえるのでは、と考えています。
【千坂】私たち職員みんなで支えていこうと意思統一をしていますので、大丈夫です。来年の診療報酬改訂を考えても、民医連はかなり厳しい局面に入ると私は思っています。そうなったとき、勤医会は勤医会のことだけを考えるという内向きの発想ではとうてい展望は出てきません。鈴木先生に来ていただいたことで、民医連運動全体の発展に貢献していくという決意を改めて打ち出していきたいと思います。

民医連の財産を糧に自らの展望を切り開こう

【千坂】それでは最後に決意をひとことお願いします。
【鈴木】健友会と代々木病院との連携・再編問題、かなりの資本投下となる東葛病院のリニューアルなど、課題は山積しています。改めてそれらの課題を見つめ、身を引き締めて取り組んでいきたいと思っています。
 また、全日本民医連の役員として、全国各地の民医連運動を知ることで、民医連が築いてきた財産の大きさを実感してきました。そこから、大いに学ぶべきと思いますが、東京民医連には、東京しかない困難が多々あり、また優位な点もあります。勤医会の課題と東京民医連の発展には、その特殊性を冷静に見詰めて、自らの頭で打開し展望を切り開く努力と発想が必要と考えています。
 小泉構造改革は、郵政の次にはいよいよ医療に焦点を当ててきています。大変な改悪案が次々に打ち出されています。また、憲法を改悪して、日本を戦争のできる国に変えようとする動きも活発化しています。私は、憲法9条・25条を守る運動を勤医会の皆様とともに進める中で、同じ釜の飯を食った仲になっていけたらと思っています。職員の皆様、また共同組織の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。


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