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協同組合法vol.29

トピックス/10月、いよいよ桜丘ケアセンターがオープンします

社会福祉法人東京さくら福祉会・事務局 渡邉 史朗

多面的な介護福祉サービスをめざして

 ――この10月、いよいよ桜丘ケアセンターがオープンします。グループホーム単体ではなく、多様な福祉サービスを総合的に提供する複合施設と聞いていますが、まず、施設・事業の概要をお教えください。

★1階には「デイサービスセンターさくら草」(定員15人)、「ヘルパーステーションさくら」、居宅介護支援事業所の業務を独立させてケアプランの作成などを行う「在宅支援相談室 桜丘」が開設され、2階3階が痴呆性高齢者グループホーム「さくらの家」です。「さくらの家」の定員は18人(1ユニット9人×2)です。桜丘という地名にちなんで、すべての事業所に「さくら」をつけました。

 これらの事業を運営するのは、社会福祉法人・東京さくら福祉会です。「桜丘ケアセンター」という名前はいわばニックネームなんです。

 ――ここまで来るには様々なご苦労があったと思いますが、桜丘ケアセンター建設と運動の経過を簡単にお話しください。

★高齢者の方々が地域で安心して暮らしていくためには、医療と福祉の双方を充実させることが不可欠です。この計画の大きな柱は、社会福祉法人の設立とケアセンターの建設でした。02年11月に約30人の呼びかけ人を中心に「桜丘総合ケアセンター建設をすすめる会」が発足し、この「すすめる会」が中心になって地域の方々へ参加を呼びかけ、寄付金を募ってきました。会員数は現在、412人です。

 03年2月、社会福祉法人「設立準備会」を立ち上げ、法人設立と施設建設の準備を進めてきました。また、写真でもわかりますように、建設地は世田谷の閑静な住宅地のど真ん中ですから、近隣の理解を得ることも重要な仕事でした。私たちは近隣に住む方々や町会に丁寧に説明し、同意をいただいてきました。一方、国、東京都、世田谷区へ、補助金の申請手続きを行い、04年7月、補助金の内示が通知され、この施設建設計画が公的な認可を得ることができました。

 そして04年11月、ようやく社会福祉法人が正式に認可され、施設の建設を開始、この8月2日に引渡しが終了しました。

 現在は各事業責任者、移籍予定者が集まって研修を行ったり、定期的に会議を開いたりして、開設準備をすすめているところです。

「生活を楽しむ」ことを基本にして

 ――グループホームの申し込みは始まりましたか?

★7月10日に入居説明会を行い、入居者の申し込みを開始しました。45名のご家族が参加され、現在も問い合わせがかなり来ています。

 ――入居条件はあるのでしょうか?

★入居用件として「さくらの家のご案内」に3点を書きました。

 ・ 認知症であり、要介護T以上で歩行ができる方
 ・ 他の入居者と一緒に生活ができる方
 ・ 医療を常時必要としない方

 認知症高齢者グループホームというのは、家庭的な環境の中で、看護師、介護福祉士、ヘルパーなど専門的な知識をもったスタッフの援助を受けながら、入居者同士が支えあって共同生活を送る所です。一緒に買い物をしたり、食事をつくったり、洗濯をしたりといった日常生活を通じて、残された能力を引き出し、できるだけ症状の進行を食い止めるように支援していきます。

 認知症の方は、普通の方より身体機能の落ちるのが早いといわれます。ですから、グループホームでは、できるだけ階段の上り下りをする、買い物も毎日散歩をかねて行くなど、意識して体を動かすことを心がけます。それでも1年2年たつうちに、だんだんADLが落ちてきて車いすになるということもあると思います。入居用件、退去用件は一応決めてありますが、できるだけ最後まで住み慣れたところで暮らしていただけるようにと考えています。対応については、ご家族の方と十分話し合い、方向を決めたいと考えています。

 一方、グループホームに入居することで症状が改善する方もいます。家庭で介護していたときには徘徊などで大変だったのが、穏やかになって徘徊もなくなったというケースもあるようです。

 ――毎日の生活のスケジュールはあるんでしょうか?

★あくまでも「生活の場」ですから、一人ひとりのペースを大事にし、決まったスケジュールはありません。居室はすべて個室で、ドアのデザインも一つひとつ変えて作りました。部屋の中には、大切に愛用してきた家具や寝具などを自由に持ち込むことができます。それから、ご家族や友人、知人などの訪問は大歓迎で、面会時間というものもありませんし、ご家族の宿泊も自由です。

 徘徊があるからと、昼間もカギをかけるグループホームもあるようですが、「さくらの家」では昼間カギをかけることはしません。健和会の「福さん家」では、出歩く利用者さんのあとにそっとついていき、道がわからなくなったらしい様子を察して、通りすがりの人のような顔をして「帰りが同じ方向みたいだから、一緒に行きましょうか」などと言って、連れ戻すということでした。「さくらの家」でも、「危ないからだめ」と禁止するのでなく、人としての尊厳を大事にした援助をしていきたいと考えています。

 また、給食のようにできあがった食事を出す所もあるそうですが、ここでは、好きなメニューをみんなで相談し、一緒に作ります。時には、出前や外食も楽しみます。お酒も自由です。「生活を楽しむ」ことが基本だと思うからです。

地域にひらかれた施設運営を

 ――認知症の母親をグループホームに入れたいと思って問い合わせたところ、利用料が月に20万かかると言われて断念した友人がいます。一方、空きがなくて、月に25万円かかる有料老人ホームに父親を入所させた友人もいます。利用料は切実な問題です。「さくらの家」の利用料はどのくらいでしょうか?

★都内は地価が高いため、1ヶ月17万〜20万ぐらいという所が多いようですが、うちは基本的に生活保護を受給する方も入居できるようにと、介護保険利用料1割自己負担分を含めて、月13万5千円前後という金額設定にしました。「今入っている所は高くて払いきれないので、移りたい」という方や、「新宿区で探しているが、高すぎて」と困った様子で電話をかけてこられる方もいます。

 グループホームの難点の一つは、特に都内は利用料が高いことです。13万でも国民年金で生活している方は入ることができません。それから、増えてきているとはいえ、数がまだまだ少ないことです。実際、渋谷区にはグループホームは一つもありません。新宿区も3ヵ所しかなく、世田谷区はうちで6ヶ所目、希望者の人数と比べると、圧倒的に少ないです。金額的にも大変、数も少ない、と二重に難しい点があって、これらをどうしたらいいか、今後の課題です。

 社会福祉法人は公共性の高い法人として税制面で優遇されており、その分、質の高い福祉サービスや事業経営の透明性が求められます。

 また、利用者さん一人ひとりに合わせた対応が求められますので、日々ディスカッションをしながら、サービスの質向上につとめていきたいと思います。

 それから、介護保険法が改正され、グループホームは地域密着事業として位置づけられました。そうなると区民が対象となり、他区からの受け入れができなくなりますので、新宿区や渋谷区でもつくっていく運動をすすめていきたい。地域の方や利用者の意見をお聞きし、地域にひらかれた施設運営を心がけていきたいと考えていますので、引き続き、ご協力をお願いします。


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