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子育てもとうに終わってしまい、妻と二人だけの生活に戻ると、夫婦の時間を大切にしなくてはとの思いにかられてか、最近は学会への出張には夫婦同伴で出かけることが多くなった。学会期間中の昼は妻と別行動になるが、夜の食事や学会が終わっての観光は一緒にしている。このような余裕のひとときは、およそエネルギッシュに学会活動していた時は考えられなかったことで、自分もそういう年代になったのかと感じさせられる。
昨年の9月にイギリス、グラスゴーで開かれた「ヨーロッパ呼吸器学会」に久しぶりに(東葛病院に赴任してからは初めて)出張させていただいた。そこで、その時の印象を少し紹介したい。
この学会には2000年のフィレンツェ、2001年のベルリン(胸腔鏡下手術の演題を発表)と2回出席しているが、多国籍的でフレンドリーな雰囲気で好きになった。また、スコットランドは、数年前アイルランドのダブリンで開かれた「世界肺癌会議」に出席したときエジンバラに2日間だけ立ち寄っただけで心残りだったこともあった。
成田からの出発の際に到着便が遅れ、ロンドンでの乗換えができなくなり、ビジネスクラスを用意してもらったため、今までにない快適なフライトで深夜のグラスゴーに着いた。東京では30度を越える暑さが続いていたが、現地は雨や曇りが多く最高気温も20度以下と涼しすぎるくらいだった。 ヨーロッパ呼吸器学会は、アメリカ胸部疾患学会とならんで呼吸器疾患における世界的な学会で、ヨーロッパ各地からの参加者は1万4500人に上り、一般演題は4千題近くあった。その領域も感染症から気管支喘息、閉塞性肺疾患、肺がんまで呼吸器全般をカバーし、日本ではまだ使われていない新薬の治験成績の発表もあり、なかなか面白かった。また、生涯教育用の質問形式の症例検討会も行われ、研究だけでなく臨床医にも興味が湧くようにプログラムが工夫されていた。
スコットランドは、1999年に内政を司るスコットランド議会が復活したものの、長い間イングランドに併合されてきた歴史がある。クロムウエルは世界史では名誉革命の中心人物として教わったが、アイルランドやスコットランドではカソリック教徒を虐殺した憎むべき征服者であることが当地に行って初めてわかった。
いわゆる「巨人、大鵬、卵焼き」の類が好きではない自分にとっては、服従を余儀なくされた民族の方に共感を覚える。それは、平安時代に坂上田村麻呂に征服された蝦夷の子孫である東北人の血のせいかもしれない。
スコットランドのイングランドに対する抵抗運動は、メル・ギブソン主演の映画「ブレイブ・ハート」に荒涼とした大地とともに描かれている。処刑される最後まで「フリーダム!」と叫んで主義をつら抜き通した主人公のウィリアム・ウォレスが登場するこの映画は当然の如く、スコットランドの人々から喝采を浴びた。
学会が主催して、タータンチェックの民族衣装に身を包んだバッグパイプの演奏やクラシックコンサート、近くの湖へのバスハイクなどの行事もあり、勉強以外もゆっくりと楽しませてもらった。現在はというと、いつなるかわからないものの次の機会を虎視眈々と狙って日常の診療に没頭している毎日である。
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