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協同組合法vol.22

事業所を訪ねる(21)
(株)外苑企画商事 たくみ外苑薬局

地域の中の「健康のよろずや」として


薬剤訪問は大事なサービス

 たくみ外苑薬局(以下「たくみ」)が代々木病院隣りの現在地に開設されたのは1983年12月。代々木病院の患者さんとともに歩んできた歴史の古い薬局だ。処方箋枚数は1日平均270枚。薬剤師13人、事務4人で切り盛りする大型薬局である。
 ここの特徴は大きく二つあると谷本昌義薬局長は話す。
 「一つは、薬剤訪問活動に力を入れていることです。通院できない方々のお宅に伺い、薬がきちんと飲まれているか、食べ物との飲み合わせはどうか、副作用がないかなどを確認します。体調の変化などもお聞きして、集めた様々な情報を医療機関にお伝えします」
 薬剤訪問には介護保険対応と医療保険対応があるが、「たくみ」ではその両方で36人の患者さん宅を、月にのべ80回近く訪問する。訪問すれば、患者さんとゆっくり話すことができ、患者さんの生活がよく見える。在宅医療の一翼を担うことは薬剤師のやりがいにもつながると薬局長は言う。
 しかし、この薬剤訪問は「やればやるほど赤字になる」のだというから、物事は単純ではない。訪問のためには人手が必要で、人件費がかかるからだ。
 「どの薬局でもできるというものではないんです。うちでは経営的には大変でも、患者さんにとってなくてはならない大事なサービスと位置づけ、今後も積極的に展開していきたいと考えています」

薬に関する情報提供に力を注ぐ

 特徴の二つ目は、薬に関する情報提供に力を注いでいる点だ。薬局でおこなう薬の情報提供は多くの方々から喜ばれているが、時には患者さんから「説明抜きにして待ち時間を短縮できないか」とか、「説明の紙は要らないから薬代を安くして」と言われることもある。しかし、そのような場合にも情報がいかに大切かを患者さんに説明し、納得してもらう。
 情報提供の方法として、一つは独自に編集した「お薬情報」の紙を患者さんに渡して説明する。また、定期的に「たくみだより」(P7参照)を発行し、「血液をサラサラにする薬について」「ビタミンについて」「薬と食べ物の飲み合わせについて」など、流行の話題を特集に組んで紹介する。
 今、重点的に取り組んでいるのは「食べ物と薬の相互作用」についてだ。たとえば、グレープフルーツと薬の相互作用についてだが、グレープフルーツには薬物代謝酵素の働きを弱める成分が含まれていて、酵素の働きが弱まることで薬の効果が強く出てしまうことがある。この情報についてはすでに「たくみだより」で紹介し、窓口でも説明しているので、ほとんどの患者さんは知っている。しかし、「グレープフルーツを食べても、2、3時間空けて薬を飲めば大丈夫だと思っていた」「たまに食べるなら関係ないよね」などと楽観的に自己解釈している人がかなりいた。
 また、聞き取り調査では、かなりの人が健康食品を使っていることがわかった。健康食品は多種多様に出回っているが、科学的なデータはほとんどなく、問題があるかないかも判断できないことが多い。事故が起きたものはもちろんだが、「体調に悪い変化があった場合はおやめください」という程度しか言えないのが現状だという。
 そこで「食品と薬の相互作用」のニュースを発行することを決め、第1号に「セントジョーンズワート」という健康食品をとりあげた(下参照)。これは西洋おとぎり草とも呼ばれているバーブの一種で、気分を落ち着かせる作用があると言われているが、薬の作用を弱める働きがある。これが含まれている健康食品は、調査して判明しただけでも何十種類もあった。
 「うちにはそれなりの薬剤師の人数と情報の集積がありますので、情報提供には力を注いでいきたいですね」
 そのほかにも窓口での聞き取りには力を入れている。その中で副作用を聞き出し、記録に残すことにより同じ薬が出ることを防いだことや、他の病院からもらった薬との重複を防いだことも何度かある。

よりよいサービスを提供したい

 渋谷区や新宿区などの都心では過疎化が進んでいるうえ、この間の医療改悪が追いうちをかけ、医療費や薬代の支払いが増えたため、患者さんが減少していることは周知の事実だ。「うちも処方箋が年々減ってきていて、6年前は1日400枚だったのが今は270枚。年に10%ぐらいずつ減っているんです」と薬局長。
 「その厳しさに立ち向かっていくには、患者さんによりよいサービスを提供することです。まず情報提供ですが、薬は副作用など危険と隣り合わせですから、患者さんが情報を正しく手に入れられるようにすることは非常に重要なことです。『たくみ』では情報提供は当然の仕事として今後も行っていきます。
 また、ドクターにセカンドオピニオンがいるように、何でも相談できるセカンドオピニオン薬局があってもいい。それに選ばれるぐらいの力をつけたいと思います」
 代々木病院は2月1日から救急医療を開始した。「たくみ」でも24時間対応の薬局として夜中でも電話で相談できる体制をつくっていくつもりだそうだ。さらに、「栄養補助食品や嚥下のための食品などにも力を入れ、地域の中の『健康のよろずや』として信頼される薬局になりたい」と薬局長は語っている。




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