かかりつけ薬局として
ひばり薬局は1997年4月1日、千葉県野田市山崎にオープンした。目の前に畑が広がり、薬局の建物には陽光がさんさんと降り注いでいる。1軒おいて野田南部診療所がある。
「環境はいいですね。ところが、梅郷駅前の再開発の一環でここに16m道路が通ることになり、ここの土地が3年後を目処に売却されることになりました。開設して丸7年、せっかく定着してきましたので、遠くには行きたくない。野田南部診療所も新築あるいは移転の方向を打ち出していますので、それも視野に入れながら考えていかなければいけない。ちょっと落ち着かない状態です」
そう語るのは薬局の立ち上げから管理薬剤師として携わってきた杉山等さんだ。他に薬剤師が2人、計3人で業務をこなす。
ひばり薬局は、処方箋枚数が月に1300〜1400枚、1日にすると平均55〜60枚だが、季節によって波があるという。4月から9月は平均並みだが、風邪やインフルエンザのシーズンの10月〜3月は70〜80枚、ピーク時は100枚を超える。
この処方箋の9割が野田南部診療所の患者さんである。診療所が小児科も掲げているため、そのうちの3割から4割が子どもの処方箋で、特に喘息の子どもが目立つという。
「交通量の多い国道16号が通っているので、空気が汚れているんでしょうか」と杉山さん。
ひばり薬局は今年度の目標として「地域住民のかかりつけ薬局として患者さんの相談にのれる、魅力ある薬局」を掲げた。
かかりつけ薬局とは、患者さんが内科、歯科、皮膚科などどの医療機関にかかっても処方箋を持っていく薬局は一つに決めておく、その薬局のことを言う。かかりつけ薬局では、患者さんの薬歴(薬の服用記録)を作成し、薬の副作用や飲み合わせ(相互作用)、薬が重複していないかなどを確認する。また薬について心配なこと、わからないことなど何でも気軽に相談できるようにする。かかりつけ薬局を決めることによって、処方箋をバラバラに出すよりも安全性が高まるのだ。
「たとえば、この薬とこの薬を一緒に飲むと、眠気が出るとか喉がかわくといった症状が出る場合もありますし、飲み合わせに注意が必要で、時間をずらして飲んだほうがいいものもあります。かかりつけ薬局としてお薬手帳をすすめていますが、まだ数が少なく、患者さん1000人のうち80〜90人といったところでしょうか。1割に満たないので、もっと力を入れていく必要があります」と杉山さんは話す。
薬のことから健康相談まで
薬剤師が薬の専門知識を持っているのは当然だが、かかりつけ薬局として患者さんのニーズに合わせたサービスをするとなると、薬以外にも幅広い知識が要求されるのではないだろうか。そう素朴な疑問をぶつけると、「そうなんです。健康志向が強くなっている分、情報過多の面もありますからね。いろいろな相談に応じるというのはなかなか大変なんです」と杉山さんは言う。
たとえば、サプリメントを飲んでいる患者さんが増えていて、「この薬と併用しても大丈夫ですか」と聞かれることもあるという。
「一番多いのはビタミン剤ですね。水溶性ならいいんですが、ビタミンAなどの脂溶性になると、飲み合わせが悪い薬もありますから、『一緒に飲まないでください』と注意する場合もあります。漢方薬もよく相談を受けますが、漢方薬は難しいです。熊の胆を飲んでいるという方もいました」
また、検査値を気にして相談する人も増えたそうだ。「カリウムが足りないという検査結果が出た。どういう食べ物がいいですか」といった具合だ。即答できない場合は後からインターネットなどで調べ、コピーを渡すこともあるという。
こうなると、薬剤師は相当の力量が要求されて大変だろうと思うが、患者さんからすれば、薬のことから健康相談までできる薬局の存在はとても心強いにちがいない。
ひばり薬局では患者さんの自宅に伺って服薬指導をする在宅訪問も行っている。医療保険対応(訪問服薬指導)と介護保険対応(居宅療養薬剤管理指導)の両方があり、現在、10人の患者さんのお宅に月に2回、定期的に訪問している。
「うちみたいな小薬局は患者さんとの距離が近いという点が利点です。これを生かして、もっともっとサービスを充実させたいですね」と杉山さんは話している。
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