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協同組合法vol.17

事業所を訪ねる(16)
(株)外苑企画商事 三郷しいの木薬局

ステーションは今大変だけれど、やりがいは大きい


ステーションの苦労

 たんぽぽ訪問看護ステーション(以下、たんぽぽST)は1995年5月に開設された、東京勤医会の中で一番古いステーションだ。2002年5月に「三輪野山」という美しい地名の今の場所に引越し、小池美穂さんが2代目所長になった。利用者さんの数は月平均、介護保険が70人、医療保険が10〜15人だ。
 「特徴としては、まず、介護度の高い方が多いことです。うちでは要介護5の方が23人で、もっとも多いんです。介護保険が始まってからは、軽症の方はヘルパーさんにお願いするので、より一層重症の利用者さんがSTに集まってきています」と小池所長は話す。
 介護度が高ければ高いほど、緊急時の対応が必要になる。たんぽぽSTは携帯電話での24時間対応をとっており、「安心できる」と信頼されている。利用者さんの70%が緊急時対応の契約をしていることがそれを裏付ける。
 ところが、去年4月の介護報酬の改定で、この緊急時加算が1370単位から540単位に、830単位も下がってしまった。「経営的にはそれが痛手になっています」と所長は言う。さらに、経済的な事情で、「1時間を30分にしてほしい」など、時間の短縮をする利用者さんもいる。
 また、常勤5人のうち4人がケアマネジャーとしての業務もこなしているが、このケアマネ業務も改定で厳しくなった。
 「とにかく訪問看護ステーションはどこも大変です。ここを乗り越えるには人件費の削減しかない。人数を減らす、時間外労働を減らす、そしてちょっとした空き時間も無駄にしない、ということでしょうか」
 所長は苦悩の一端をのぞかせた。

カウンセリング能力を高めたい

 このところ、ターミナル期の利用者さんが3人続いた。84歳の女性はがんのターミナルで、「1週間だけでも自宅で過ごしたい」と退院した。IVH(中心静脈栄養)とバルンカテーテル(尿の管)が入っていて、本人も主たる介護者の娘さんも今ひとつ自信がない。訪問看護は1日おきだったが、携帯への緊急連絡はひんぱんにかかってきた。「おしっこの管のことで母が何か言ってるんですが、私ではわかりません。何とかしてほしいんですが」といった娘さんからの電話だ。
 緊急連絡といっても中身はたいしたことはない、という場合もある。不安からナースコール感覚でひんぱんにかける人もいるが、その一つひとつに丁寧に対応する。
 「ターミナル期はご本人もご家族も辛い時期で、精神的に重たいものがありますから、言葉の使い方一つにも配慮が必要です。人生の最後を自分の住み慣れた家で送りたい、と希望される利用者さんを支えるのも私たちSTの大きな役割だと思います」
 たんぽぽSTでは1番と2番の2本の携帯電話を当番で持つ。1番につながらなかったら2番にかけてもらうようにしているので、1番当番は夜中も日曜日も緊張が続く。「当番を1週間やって次の人に携帯を渡すとき、ホッとすると同時に何となく寂しい気持ちもあります」と、ある訪問看護師さんは話す。

リハビリ効果は思った以上にある

 訪問看護ステーションの役割としてもう一つ重要なことは、「リハビリをやって、できるだけADLを落とさないことです」と所長は言う。たんぽぽSTでは理学療法士が週2回来て専門のリハビリを行うが、訪問看護の中でもメニューの一環として行う。マッサージや関節の可動域訓練をやって体をほぐしたあと、利用者さんのレベルに合わせて、立ち上がり訓練、言語療法などを行う。言語療法では一緒に歌をうたったり、「あいうえお」を大きな声で言ったりする。
 「歌はとても喜ばれます。不思議なんですが、言葉が不自由な方でも、歌は出てくるんです。『海はひろいな』とか『ふるさと』とか、懐かしい歌をうたうと、表情が柔らかくなります。こうしたリハビリによって、1日中寝たきりだった方がベッドから起き上がれるようになり、歩けるようになっていく。そういう過程をみるにつけ、リハビリは私たちが思っている以上に効果があるようです」
 利用者さんのほとんどは、高血圧、糖尿病などの生活習慣病を持っており、複数の疾患が合わさって重症化している。先日も大変な事態が起きた。糖尿病、統合失調症、脳こうそくの疾患を併せ持つ一人暮らしの女性のアパートを訪問したところ、声はするが出てこない。鍵がかかっているので、入ることもできない。その女性は生活保護を受けていたので、すぐに社会福祉協議会に連絡をとった。生保の担当者がかけつけ、割れている窓ガラスの隙間から室内に入った。その女性はベッドから落ちて、起き上がれなくなっていたのだ。
 「介護度の高い利用者さんをみるということは気苦労も人一倍あります。大変な思いをしながら日々訪問看護をやり、残った時間でケアマネ業務をこなす。それでも経営的には厳しい。訪問看護ステーションは今大変ですが、私たちがかかわることで、例えば利用者さんの大きなじょくそうが治っていく。その一人ひとりのいい変化を見ることができることは私たちの大きなやりがいです」
 ベッドから起き上がれるようになった、じょくそうが治った……利用者さんのそうした変化を「元気の素」にして、訪問看護師さんたちは今日も利用者さん宅へ出かけていく。




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