3ヵ年計画の意義
――大平さんは7月21日付で、東葛病院事務長から3ヵ年計画の専任の担当者として異動されましたね。
★はい。かなりのプレッシャーはありますが、勤医会の将来展望をつくりだすための計画ですので、肝を据えてかかろうと思います。
――それではまず、3ヵ年計画の意義、概要についてお話しください。勤医会の職員はすでにご存知でしょうが、この「協同組合報」は他の法人の人たちも読みますので。
★3ヵ年計画の中心は、(1)東葛病院付属診療所の移転・新築、(2)東葛病院のリニューアル、の二つです。5カ年計画で代々木病院の建設を成功させ、その後、みさと協立病院の改修も終え、いよいよ東葛病院の番です。東葛病院が建設されて22年、老朽化という問題もありますが、一番大きいのは医療法が変わったことです。1病床当たりの面積を6・4u以上にしないといろいろな面で対応できないことになりました。この第4次医療法対応を行い、差額のないベッドをフルに患者さんに利用してもらおうと考えています。
これらと合わせて、医療経営構造の抜本転換をはかっていく。今はどの病院も経営が厳しく、倒産する所も出ています。3ヵ年計画は医療経営構造の転換をはかるという点でも大きな意義があります。
1000人規模の外来を展望して
では計画を具体的に見ていきましょう。まず、東葛病院付属診療所の移転・新築について。東葛病院の病床をゆとりあるスペースにし、しかも331床をフル稼働させるためには、今の面積のままでは難しいため、それを解決する一つの方法として、2階の外来を外部化してそこに病棟をつくることにしました。全体の面積は変えずに、今の施設をフル活用していこうという計画です。
方法としては他に、病棟部分を増築するという手もあったのですが、いずれにしても今の診療報酬制度では、外来を外部化したほうが経営的メリットも大きいため、診療所を外部化することに決めました。これによって患者さんの環境も改善していこうと。東葛病院の外来待合室は狭いし、環境もさほどいいとはいえませんので、環境を整備して「かかりやすい外来」をつくっていきます。
また、現在は付属診療所と病院外来の2ヶ所に分離しているため、矛盾もあります。今の付属診療所は慢性疾患を中心とする内科診療所で、1日200人ぐらいの患者さんが利用しています。病院の外来は内科を中心に各科が入っており、1日550人ぐらいです。新しい診療所ではこれを一体化し、当面は1日の外来患者数800人、将来的には1000人規模の外来という構想で基本設計をしています。
病院に残るのは救急外来とリハビリ外来、それから開業医などからの紹介外来をつくる計画です。
歯科については、現在は東葛病院歯科として病院の一つの診療科目になっていますが、これを切り離し、単独の歯科診療所として付属診療所の3階に移る予定です。それから、外来透析が4階のフロアを全部使って入る予定です。
着工は少し遅れていて、年内ぎりぎりか年明けになるだろうと思います。診療所の建設で約10ヶ月、そのあと東葛病院のリニューアルに移ります。医療を継続しながら、1フロアずつ順番に工事を進めていきます。1フロアで2ヶ月ぐらいかかるといわれていますので、およそ2年ぐらいは改修工事が続く予定です。長丁場で、入院患者さんがいながらの工事になりますので、より困難が予想されます。
投資計画は総額で約20億円かかる予定です。今、中国の鉄鋼需要が伸びていて鉄鋼価格が上昇していることや、建設面積も当初の計画より広げないと収まらないなど、建設費が当初計画より増える見込みです。いずれにしてもこの大事業の成功のカギは、職員一人ひとりが主体性をもって力を発揮していくことです。
――東葛病院南側(前面)の駐車場に建設するわけですが、そうすると駐車場が不足しますよね。
★そうです。今は120台駐車できますが、診療所が建設されると38台、およそ3分の1になってしまう。患者さんにアンケートをとったところ、要望の多かったのが「待ち時間が短くならないか」と「駐車場」の二つでした。ほとんどの方が車か送迎バスで来られますので、駐車場の確保は大問題です。
そこで去年の暮れから早めに交渉してきて、近くの農家の方が協力してくれることになり、北側(病院裏)に約70台分の駐車スペースを確保することができました。
東葛病院は何をめざすのか
計画を成功させるためには、東葛病院は何をめざすかを明確にすることがもっとも大切なことになります。今は急性期も担っているし、療養病床もある、急性期を過ぎてのリハビリもある。一方で、糖尿病などの慢性疾患にも力を入れている。いわば総合的に展開しているわけで、これらの機能を見据えて病棟構想を考えていかなければいけません。
制度的には、昨年の8月に一般病床か療養病床かの届出があって、東葛病院の場合は一般病床295床、療養病床36床という届出をしました。ただし今後、急性期一般病床として生き残るには、平均在院日数17日未満、紹介率30%以上という規定がありますので、ここをクリアしようとすると、平均在院日数に関係ない療養病床や回復期リハビリテーション病棟、あるいは緩和ケア病棟などを組み込む必要がある。ベッドを17日未満で回した場合、規模が大きくなればなるほど、多くの患者さんがいないと、空床が生まれてしまいます。東葛病院はどのくらいの規模が適切なのか、患者さんの要求や地域性などを分析して決める必要があると思います。
患者さんのかかりやすさ、療養環境を前進させていくとともに、今の診療報酬制度の有利な点を取り入れることや、将来、制度改正があってもこれに耐えうる構造転換をはかっていく。これが大きなねらいです。
――大平さんご自身が今一番苦慮していることは?
★苦慮ですか(笑)。苦慮というよりも、この計画の基本はどこにあるのかという点を常に見ていかないといけないし、それを職員一人ひとりに理解してもらわないといけない。患者さんにとってかからやすい、経営的にもメリットがある、ということですが、特に経営問題でいくと、06年に診療報酬の大幅なマイナス改定が予定されています。それに耐えうる構造を今から準備していくことが非常に重要なポイントであり、そのために職員が団結してここを乗り切っていく必要がある。建設委員会事務局ニュースはこの間週に1回出していますので、それを活用しながら、現場で討議を重ねてほしいと思います。
地域訪問を開始
――資金結集はいかがですか。
★特定協力借入金は全体で10億、地域協同基金は04年〜05年が各3億ずつ、06年2億、計8億という目標で、この半分は東葛地域で集めようということで、職員と地域の方々に呼びかけています。
東葛病院は過去に倒産し地域の方々に多大な迷惑をかけたため、厳しい意見もいただいていますが、一方で、「頼りにしています」と資金を寄せてくださる方がおおぜいいます。地域に支えられていることを改めて実感しています。私たちにできることは医療で恩返しすることですので、東葛病院の将来展望を語り、協力をお願いしています。
これから職員と守る会が協力して、2500人の東葛病院の旧債権者全員を訪問するつもりです。地域の団体訪問も開始しました。まず知ってもらうことから始めようと、計画を紙芝居風にして訴えています。
それから、地域に訴える前に、まず自分たちが地域協同基金に参加していくことが大事です。しかしながら、参加率がまだ過半数に到達していません。ここが確信にならないと、計画の成功はおぼつきません。資金結集は「やるんだ」という気概の表れだと考えていますので、ぜひお願いします。
――最後にひとことお願いします。
★去年は東葛病院20周年、合同10周年の節目の年でした。この3カ年計画は、その上に立って、次の展望に向って進むためのものであり、少なくともこういう計画を示すことができるということにまず確信をもちたいと思います。厳しい医療情勢の中で、計画を立てること自体厳しい状況ですから。これは、職員一人ひとりが我慢すべきところは我慢して合同を成功させてきた 証(あかし)です。これを計画倒れにしないために、気持ちを寄せ合って進んでいこうではありませんか。
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