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協同組合法vol.16

トピックス/みんなで心配し合う、みんなで支え合う看護集団に

東京勤医会看護部長 二戸幸子

勤医会看護師579名の力

 ――二戸さんは今年5月から東京勤医会の看護部長になられました。法人全体の職員数は約1000名、うち看護師は579名で6割を占めます。その集団の力をどう生かし、どうまとめあげていくか、さぞご苦労もおありかと思います。今日は、看護部長に就任しての今のお気持ち、看護集団がめざしていることなどをお聞きしたいと思います。まず、簡単に自己紹介からお願いします。

★私が代々木病院に入職したのは1972年、沖縄が返還された翌年でした。看護師になって32年、早いものです。入職して20年間はずっと代々木病院で勤務していましたので、よく言われる「箱入り娘」の1人というわけです。娘時代からはるか遠くに来ましたが(笑)。

 旧勤医会と東葛病院が合同したのは1993年ですが、その前年の92年8月1日、代々木病院の職員が東葛病院へ移りました。その第一陣で東葛病院へ来ました。送り出す側も送られる側も大きな決断が要りましたから、涙また涙の壮行会になったのを今でも鮮明に覚えています。92年12月、東葛病院代々木病院の職員が力を合わせて6西病棟(糖尿病・内分泌)を立ち上げ、病棟婦長になりました。まだ合同前でしたので、「結婚する前に子どもができたようなものだ」と冗談まじりに喜び合ったものです。その後、合同後の10年をみんなで力を寄せ合ってやってきました。

 矢幅さんから受け取ったバトンはとても重くて責任重大ですが、責任だけを考えているとやっていけないので、気持ちを楽にして(笑)。少し気が楽かなと思うのは、じつは常任理事のメンバーに看護部門から6人も入っているんです。看護師の常任理事がこれだけ大勢いる法人はほとんどありませんから、これは勤医会の大きな特徴といっていいでしょう。この6人で支えあって、集団で責任をもってやっていければと考えています。それから、これまでは病棟も在宅も一緒でしたが、今年度から在宅看護部ができ、診療所と訪問看護ステーションは在宅看護部の管轄になり、矢幅さんが担当することになりました。現在、訪問看護ステーションは12ヵ所、診療所は11ヵ所ありますから、分担して担当できるのはありがたいです。

 それから、このさいですから、看護部がどんなふうに運営されているかを知ってもらうために、組織機能図を掲載したいと思います。

夢の集大成

 ――勤医会看護部は今年度、何をめざしていますか。

★「2004年度看護部方針」に基づいてお話ししたいと思います。

 今年度は、法人の3ヵ年計画の中心課題である東葛病院付属診療所の建設、東葛病院のリニューアル計画を推進する重要な年度になります。合同後の10年、勤医会は、東葛病院の債務を返済し、代々木病院の建て替えを成功させ、みさと協立病院の改修・病棟再編を成功させてきました。合同の10年は「我慢の10年」でもあったわけです。看護部でいえば、たとえば看護体制は「2対1」ではなく、「2・5対1」、つまり、患者さん2・5人に看護師1人という体制でまだやっています。

 3ヵ年計画は未来につなげていく投資です。今、4次医療法の対応をやらなければ、先がなくなるわけで、何としても実現させなければいけない。実現できれば、今までできなかったことができるようになります。それがどんなに困難でも、夢や希望につながる困難であることを一人ひとりの職員が理解して、次の段階へ向かって力を寄せ合っていきたいと思います。

 では、具体的な方針について説明しましょう。

1.夜勤改善を中心に業務改善、基準化をすすめ、看護の質を高める。

 看護師の場合、夜勤体制をどうするかは非常に大きな問題です。勤医会はこれまで変則3交替でやってきました。変則というのは、深夜が11時間労働になっていたからです。長時間拘束されることの大変さ、安全性の問題などから、この長時間の深夜労働を改善しようということで、今年6月から8時間制の3交替を開始しました。8時間といっても引継ぎが必要ですので、実質は8・5時間で組みます。今、看護界では2交替制のほうが主流ですが、私たちはあえて時代に逆行し、3交替に踏み切ったわけです。

 2交替のほうが人員的には少なくてすむ面もあります。それに、拘束時間は長くなりますが、休みは多くなる。それで、若い看護師の中には「2交替のほうがいい」と言う人もいます。しかし、長く働き続けることを考えた場合、また安全性の点でも、長時間労働は改善しなければいけません。

 また、業務全体を見直し、夜勤改善をやりながら業務改善を大胆にやっていきたいと考えています。

2.東葛付属診療所の建設、東葛病院の改修を成功させる。

 先ほども話しましたが、これは合同10年の集大成としての事業であり、夢の集大成だと私は思っています。

3.看護師確保と養成の課題を全職員で取り組む。

 厚生労働省は看護師の需給計画で「看護師は足りているから、これ以上増やさない」というスタンスをとっています。しかし、実際には看護師確保が厳しくなってきています。全国の民医連では新卒看護師を毎年1000人ぐらい受け入れていましたが、今年4月はこの1000人を切ってしまいました。改めて確保に取り組んでいかないと大変なことになります。

 私たちは、学生のときから民医連を理解してもらって、民医連運動の担い手としての後継者づくりをしていく必要があります。そのためにも、看護学生に選ばれる病院づくり、民医連らしい看護実践が大切です。。

 ――「退職率10%以内をめざします」と書かれていますが、10%というのはいいほうですか。

★看護協会全体では14〜15%ですし、10%というのは民医連の中でもいいほうです。退職率を低くするためには、働き続けられる職場環境をつくることと、働きがいのある職場をつくることです。誰だって時には落ち込んだり働くのが嫌になったりします。そういうときに話し合ったり支えあったりできる人間関係があれば、「もう1回頑張ってみようか」という気持ちになれるかもしれない。みんなで心配し合う、みんなで支え合う、そして、希望をなくして退職する看護師を出さない。そういう職場をめざしたいですね。

 民医連でない病院では「15%は退職してもらってけっこうです。そのほうが職場の活性化につながるし、人件費も抑えられる」と切り捨ての論理で行く所もあります。私たちは、こうした切り捨ての論理ではなく、看護師として、女性として人間として、人間丸ごとどう成長していくか、いけるかにこだわっていきたい。一人ひとりの個性を大事にしながら、1年目より2年目、2年目より3年目と成長していくことをみんなで喜び合えるような教育をしていきたいと思っています。

4.東葛看護専門学校の実習病院としての充実をめざす。

 東葛看護専門学校は開設10年目を迎え、多くの卒業生が臨床の現場で活躍しています。私たちは「看護の本質」で学生たちに語っていくことが大事ですが、まだ足りない部分もありますので、今年は臨床実習をもう一度見直しながら、学生とともに学ぶという風土をつくっていきたいと思います。

5.教育研修の充実

 若手職員がいきいきと看護活動に参加できるよう、研修制度を検討・再構築していこうと考えています。

次のステージに向かって

6.地域医療、在宅医療、介護福祉の政策検討をすすめる。

 訪問看護ステーションの所長などは、経営から管理まで全体を把握する力量を求められ、経営的にも非常に厳しい中で奮闘して、6月には初めて経常利益をあげました。訪問件数も増えています。仕事の幅が広がって大変な面もありますが、その分、病院も地域もわかる看護集団が形成されてきていると思います。

 介護保険の改定が目前に迫っています。病院、診療所、訪問看護ステーションの在宅ネットワークの連携をさらに強めていくことが求められています。

 ――最後にひとことお願いします。

★看護労働はますます厳しくなっています。現場はやってもやっても仕事の整理がつかず、疲労感が大きくなり、看護の面白さが見えなくなっているきらいもあります。こうした厳しい中で、いきいきと働き続けるにはどうしたらいいのか。ここが一番頭を悩ませるところです。でも、少なくとも合同10年の歴史は幻ではなく、私たちが力と知恵を出し合ってつくってきたものです。ここに確信をもって、次のステージに向かっていきたいと思います。




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