今度は東葛病院の番
――まず今年度の事業計画についてお話しください。
★法人の事業としては、東葛病院の改修と付属診療所の移転・新築が最も大きなポイントです。順番としては、今年度が診療所の建設、東葛病院の改修は来年になります。2000年に代々木病院の建て替えが成功し、今度はいよいよ東葛病院の番です。
東葛病院は第4次医療法対応で病床面積を広げ、4床部屋が中心になります。さらに、東葛病院は厚生労働省の研修指定病院初年度の年になりますので、それに相応しい施設を今度の改築でつくっていきます。診療所はこれまでは内科だけでしたが、今度は総合的な外来診療所になります。建物は、東葛看護専門学校の前の駐車場に建設することが決定しています。
この事業の投資額は20数億円という、代々木病院の建て替えと同規模の費用がかかる大事業です。今のところはまだ東葛地域だけの話みたいになっているきらいがありますが、これは法人あげて取り組まないと成功しない事業であって、代々木地域でも三郷地域でも、「我が事」として取り組んでもらいたいと思います。
代々木病院の建て替えが成功したのは、東葛病院が頑張って医療を支え、経営的にも黒字を出し、勤医会全体の「牽引車」としての役割を果たしたからです。今度は代々木病院がその恩返しをする番、とりわけ代々木地域では頑張ってほしいと思っています。
――理事長は3年前の「勤医会報」1月号で、こう語っておられます。「私たちが21世紀も社会的役割を担うとするなら、既存の医療という狭い枠、あるいはそれにちょっと毛の生えた福祉をやるというだけではだめです。狭い枠は全部取り払って、いろいろな人と手を組み、その中から生まれてくるものを大事にし、ときにはそれを事業化に結びつけたりしながら、世の中を変えていく」。この3年間の積み重ねの上に今年度があるわけですが、連携が具体化しているものはありますか。
★一つは給食共同事業です(「協同組合報」2月号参照)。健和会と2年間にわたって協議を重ねてきて、すでに土地を取得し、事業計画もほとんどできてきました。労働組合との話し合いも進んでいます。
医療連携では、健友会・中野共立病院との交流がすすんでおり、「新しい条件と展望を切り開いていけるような医療連携・機能分担にしよう」ということで議論がすすめられ、具体的には救急機能、外科機能を代々木病院に移すことがほぼ合意されています(「協同組合報」1月号参照)。
福祉分野では、今年、世田谷に社会福祉法人が立ち上がる予定であり、順調に行けば、来年はグループホームの建設が実現します。具体的な見通しはまだありませんが、特別養護老人ホームの建設も視野に入れながら、日本の医療・福祉の前進につながるような活動をつくっていくことが大事だと思います。
将来につながる苦労をしよう
――勤医会理事会は「労使関係を軸とする全職員の団結した力であらゆる困難を打開しよう」をスローガンに掲げて奮闘してきました。これは今年度もスローガンに?
★はい。引き続き労働組合との話し合いを重視しながら、「医療も経営も職員の生活も守る」という視点を堅持していきたいと考えています。これは勤医会の基本であり、どんなに苦しい事態になっても、これを守り、困難を分かち合うことで事態を突破したいと思っています。
東葛病院の改修の成功は、たんにお金の問題だけではなく、研修医を迎えられるだけの医療の質をつくっていけるかどうかが鍵です。つまり、それを支える「人」の問題が重要だということです。医師と看護師の力量の問題、管理部の問題など、まだまだ不十分な現実があります。
今年の東葛看護専門学校卒業生の進路をみると、勤医会に就職する人が以前より若干減っています。看護学校実習病院としての新しい発展が求められています。
東葛病院は昨年、「医療機能評価」を受審し、現在、4項目が条件付きで留保になっています。こうした取り組みを通じて改善のポイントは出てきています。人の問題は「発展途上」、これからです。
勤医会は透析食の問題、組合との関係などで民医連に問題提起してきました。世の中の流れはますます効率、成績主義、自己責任といった方向に向かっています。民医連の中でも「職能給の導入」の動きが出てきています。勤医会はそういう動きに危惧を抱いています。私たちは、「患者さんの拠り所になる」「患者さんを差別しない」という民医連医療の原点を大事にしながら、職員が共に育ち合う工夫をし、経営が困難なときには、苦労を分かち合うことで頑張っていきたい。
効率や経営問題だけが先走ると、一時は良くなっても将来につながりません。当座は苦しくても、職員同士で力を寄せ合い、将来につながるような苦労をしようではありませんか。
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