趣意書 ―政令指定都市を展望して― 水戸市長 加藤浩一
現在、住民の暮らしに直結する地方自治体は、非常に厳しい状況に置かれております。まちの活力という視点から言っても、我が国の景気の回復は、大都市への経済活動の集中化によるところが大きく、地方においては、その反動として、人口の減少、経済の落ち込みなどが進み、いわゆる格差が生じていることを否定できないものであります。自ら努力し、個性や独自性、魅力を高めていかなければ、地方都市は、生き残れない時代となっていると言っても過言ではありません。
このようなときであるからこそ、住民も、行政も、ともに、未来へと飛躍する都市のあり方を考え、効率的な行政運営という視点に加え、自らの力で個性と魅力にあふれる都市づくりを進めていくための権限、さらには、充実した財源を持つ政令指定都市を目指していくことの必要性を強く感じております。
茨城県の人口が減少する中で人口の偏在化が進み、つくばエクスプレス沿線開発と相まって、県南地域に重心が移行しつつあり、また、政令指定都市となっている南関東の県庁所在地をはじめ、近県に大都市がひしめき合う状況を踏まえれば、水戸を中心とした地方中核都市圏の求心力は、相対的に弱まっていくものと懸念するところであります。
しかしながら、水戸都市圏においては、北関東自動車道の平成23年度の全線開通、茨城空港の2年後の民間共用化によって、交通昨日が飛躍的に高まり、観光や産業分野での発展が大きく期待されていることも事実であります。圏域内においては、原子力研究施設や関連施設、港湾、産業団地等に加え、歴史的資源や観光資源、海、川等の水辺空間や丘陵地帯における豊かな自然、特徴的な産業などがあり、それぞれが多彩な個性や魅力を有しております。
このような要素を広域的な都市づくりに有効に生かし、全体の魅力とすることによって求心力を高め、さらなる発展をしていくためには、長期的な視点に立った都市間共通のビジョンをしっかりと持たなければならないと考えるものであります。
私は、古来から河川や海岸線といった水辺にまちが発生し、発展してきた経緯、さらには、住民の生活圏、これまでの都市の結びつきなどを考え合わせ、水戸都市圏の中央を流れる那珂川、涸沼川を中心とした大きな枠組みの中で、将来の政令指定都市を夢に描いております。そして、拠点的な魅力を複合的に連携するネットワークが構築され、また、地域特性にあわせたバランスある産業の配置によって一層の活力が生まれ、企業立地が進み、若者の就業が促進されるようなまち、すなわち、人や物が交流し、躍動する夢のあるまちの姿を求めてまいりたいと考えるものであります。
国においては、「三位一体の改革」によって、約6兆円に上る地方への補助金や地方交付税の縮減を行ったところでありますが、そのことにもかかわらず、実に国家予算の10倍を超える834兆円にも債務が及んでおり、その増加に歯止めがかからない状況を見れば、地方への締め付けが今以上になってくることは必至であります。加えて、少子化の進行により日本の人口が減少し、また、様々な行政課題への対応が求められる中で、一つの市町村が、すべてを賄うのは難しくなってきております。
このような中で、お互いの都市がすべてのことを競っていくという、いわゆる都市間競争ではなく、考え方を転換し、将来の都市間共通のビジョンをしっかりと見据えた現実的な対応として、都市間協働ということを一層進めていくことが大切であると思っております。
これまでも、一部事務組合等の広域行政を進めてきたところでありますが、ごみ処理や消防、水道などの様々な部門での一層の連携、広域化が求められる中で、行政運営にとどまらず、観光や産業、住民活動など、あらゆる分野で協働する体制づくり、ネットワークの構築を大きく期待するところであります。
私たち政治に携わる者は、これまでも、住民が、将来にわたって、幸せに、安心して暮らしていくことのできるまちづくりを目指し、それぞれに努力してきたところであります。地方を取り巻く環境が厳しさを増す中で、真に自立した地方自治を進めていくためにも、そして、より一層の住民の幸せ、まちの発展を目指していくためにも、我々政治家の使命として、都市間協働をはじめ、これからの地方都市のあり方、広域的な視点に立った将来ビジョンなどの夢を語り、そして政令指定都市を展望した具体的な研究を進めていくことを提案するものであります。
10年、15年先という視点に立った北関東初の政令指定都市に向けて大同団結し、その実現に向けての大きな一歩を踏み出していくためにも、是非、これらの趣旨にご賛同をいただき、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げる次第であります。
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